大林組と東亜建設工業は2018年9月25日、大型の着床式風力発電所の建設に必要な「自己昇降式作業台船(SEP:Self Elevating Platform)」を共同で建設すると発表した。発電容量が5MW(5000kW)を超える大型風力発電設備の設置を目的としたSEPはこれが国内初になるという。完成と引き渡しは2020年10月の予定。
図 大林組と東亜建設工業が共同で建設するSEP。作業地点まで水上を移動し、目的地に到着したら四隅にある長い脚を伸ばして位置を固定する
出所 大林組
このSEPは基本設計から建造まで一貫してジャパンマリンユナイテッドが担当する。これは、同社が国内の気象・海象条件を熟知しており、日本特有の建設条件に幅広く対応できるからだとしている。
風力発電は大規模な発電所を開発することで、安定した収益を確保しながら運営できるものだという。しかし、大型の着床式洋上風力発電設備の設置に利用できるSEPが日本国内では不足している。また、既存の作業船を利用して建設しようとすると海象条件によっては工事が不可能になるなど、作業効率が低下するという。
そこで大林組と東亜建設工業は、大型洋上風力発電所の建設に向けたSEPの建造を決めた。このSEPは、積載重量が国内最大規模となり、国内では初めて発電容量が9.5MW(9500kW)級の大型着床式洋上風力発電設備の設置に利用できるものになる。そして、大型の洋上風力発電設備を最大3台積載しながら建設作業を進めることも可能になるという。
搭載するクレーンの吊り上げ能力は国内最大級の800トン。発電容量が5MW~9.5MW級の着床式洋上風力発電設備の組み立てに利用できる。さらにこのクレーンは最大吊り上げ能力が1000トンのものにも交換可能。交換によって、発電容量が10MW以上の発電設備の組み立てにも対応できる。