Daimlerは2019年1月2日(中央ヨーロッパ時間)、同社の100%子会社として燃料電池の開発に取り組んでいるNuCellSysの社名を「Mercedes-Benz Fuel Cell」に変更したと発表した。NuCellSysは1997年設立の企業であり、2009年6月にDaimlerの100%子会社となっている。
図 新社名「Mercedes-Benz Fuel Cell」のロゴ
出所 Daimler
Daimlerは燃料電池と水素の可能性を「疑いようもない」ものと表現し、同社の戦略に欠かすことができないものになっているとしている。そして、同社が2018年10月に量産を開始したプラグイン燃料電池車「Mercedes-Benz GLC F-CELL」(参考記事)が今回の動きのきっかけになったとしている。
図 Daimlerが、2018年10月に量産を開始したプラグイン燃料電池車「Mercedes-Benz GLC F-CELL」
出所 Daimler
Mercedes-Benz Fuel Cellの責任者であるChristian Mohrdieck氏は「燃料電池車はCO2を排出せず、長距離を走行可能で燃料となる水素もごく短時間で補給できる。一般的な乗用車から、バスなどの大型車両など幅広い種類の車種に対応可能だ。さらに燃料電池は定置型電源など、自動車に限らない用途もある」と、燃料電池の将来性を高く評価している。またMohrdieck氏は「社名を変更することで、Daimlerが将来も燃料電池に関わっていくと強調するメッセージを発信したい」と社名変更の狙いを語った。
図 Daimlerが2009年に発表した「Mercedes-Benz Citaro FuelCELL Hybrid」
出所 Daimler
今後Mercedes-Benz Fuel Cellは、これまでよりもDaimlerと密接な関係を作り、燃料電池関連技術の開発に取り組む。Daimlerはその一例として、商用バス車両「Mercedes-Benz Citaro」に向けた燃料電池の開発を挙げている。Daimlerは2009年に商用バス車両「Mercedes-Benz Citaro FuelCELL Hybrid」を開発し、試験走行を実施している。この車両は電源として燃料電池に加えて大容量のリチウムイオン蓄電池も利用するものだ。先述のMercedes-Benz GLC F-CELLに共通するアイデアを採用していると言えるだろう。Mercedes-Benz Fuel Cellは、Daimlerのグループ会社が販売する電動車両すべてに対応することを目指して、燃料電池技術の開発に取り組む。
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Daimler