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山口県で、県有の農業ダム設備を民間業者が賃借して運営する小水力発電所が稼働開始

2019/02/04
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

山口県は、県有の農業用ダム「温見(ぬくみ)ダム」(山口県下松市:くだまつし)に付設する形で建設が進んでいた「温見ダム小水力発電所」が完成し、運転を始めたと発表した。

山口県は2019年2月1日、県有の農業用ダム「温見(ぬくみ)ダム」(山口県下松市:くだまつし)に付設する形で建設が進んでいた「温見ダム小水力発電所」が完成し、運転を始めたと発表した。この発電所は、県が所有する農業ダムの一部設備を民間業者に貸し出し、業者が発電所を建設、運営する方式を採用している。業者は売電収入の一部をダム管理者に納付する。山口県はこの方式を「新たな発電施設導入モデル」と呼んでいる。

図 山口県は県有の農業ダム3カ所で、設備の一部を小水力発電所の運営を希望する事業者に貸し出している

図 山口県は県有の農業ダム3カ所で、設備の一部を小水力発電所の運営を希望する事業者に貸し出している

出所 山口県

山口県は、2018年3月30日と8月22日にそれぞれ運転を始めた「山の口ダム小水力発電所」と「内日(うつい)ダム小水力発電所」でも、今回と同じ方式で小水力発電所を稼働させている。3カ所ともダム設備の一部を借りて、小水力発電所を建設運営するのは、大晃機械工業となっている。

温見ダム小水力発電所の最大出力は49.5kW。運転開始当初の年間見込み発電量は約370.863MWh(37万863kWh)。設備利用率を計算すると、約86%。すでに運転を開始している山の口ダム小水力発電所の最大出力は40kW。年間発電量の見込みは215.846MWh(21万5846kWh)。設備利用率は約62%。内日ダム小水力発電所の最大出力は49.5kWで、年間発電量の見込みは154.8MWh(15万4800kWh)。設備利用率は約36%となる。大晃機械工業は売電収入の一部をダムの設備管理者(温見ダムは下松市、山の口ダムは萩市、内日ダムは下関土地改良区)に支払う。

どの発電所も規模は小さいが、24時間ほぼ常時流れる流水を利用するため、設備利用率が高まり、その結果小規模ながらかなりの量を発電する。再生可能エネルギーの中でも効率が高い方式と言えるだろう。

山口県は県内に農業ダムを10カ所保有している。そのうちの3カ所の一部設備を貸し出して、小水力発電所が運転を始めた。今後、ほかの農業ダムでも同様の方式で小水力発電所を導入することも検討しているという。


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