2015年12月8日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO、川崎市幸区、理事長:古川 一夫)は、インド電力省などとの間で、ハリヤナ州のパニパット市内においてスマートグリッド関連技術の実証事業を実施することで合意し、2015年12月2日に基本協定書(MOU)を締結したことを発表した。
同実証事業は、スマートグリッド関連技術の実証と、配電システムの運用ノウハウなどをインドの配電会社に提供するキャパシティ・ビルディング※1事業を併せて実施することで、インドの配電網のスマート化に貢献するとともに、日本技術の普及を目指すものとなる。
図 実証事業イメージ
インドでは、経済成長に伴い電力需要が増大するなか、インフラ整備の遅れから慢性的な電力不足、長い事故停電時間、盗電・電力メータ改ざんなどが問題となっており、配電会社においてはスマートメーターなどのスマートグリッド関連技術の導入による配電設備・システムの拡充が喫緊の課題となっている。そのため、インド政府がロスの少ない次世代配電網の構築を目指す政策を掲げるなど、スマートグリッド関連技術への関心は高く、現在、インド電力省が主導して14の配電網のスマート化パイロットプロジェクトを推進している。
NEDOは、配電会社が抱える課題の解決に貢献するために、パイロットプロジェクトの1つであるハリヤナ州パニパットを対象としたスマートグリッド関連技術の実証と、日本が保有する配電システムの運用ノウハウなどをインドの配電会社に提供するキャパシティ・ビルディング事業に関する事前調査を行った。
その結果を踏まえ、NEDOは、インド電力省など※2との間で、ハリヤナ州パニパットでスマートグリッド関連技術の実証事業を実施することで合意し、2015~2018年度までの3年間、NEDOの委託予定先である富士電機株式会社、住友電気工業株式会社、THEパワーグリッドソリューション株式会社の3社と、インドの配電事業者である北部ハリヤナ配電公社(以下:UHBVN※3)が共同で、同州においてスマートグリッド関連技術の実証事業およびキャパシティ・ビルディング事業を実施する。
※1 キャパシティ・ビルディング:途上国等の能力構築。本事業では、日本のスマートグリッド関連技術の使いこなし方を含めた配電システムの運用ノウハウ等をインドの配電会社に提供することで、将来における日本技術の導入促進を図ることを目的とする。
※2 基本協定書(MOU)の締結先には、インド国政府電力省の他に、インド国政府財務省経済局、ハリヤナ州政府電力局、北ハリヤナ配電公社も含まれる。
※3 UHBVN:Uttar Haryana Bijli Vitran Nigamの略。
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NEDO