ダイキン工業は2017年6月7日、小水力発電事業を手掛ける新会社「株式会社DK-Power」を設立したと発表した。自治体や水道事業者が保有する水路などの施設に小水力発電機器を設置して発電させ、得られた電力を再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して売電する計画だ。自治体や水道事業者には施設の賃貸料を支払い、地域住民には電力を供給する。また、設置工事は設置地域の工事事業者に委託することで、地域振興も狙う。
設置する小水力発電機器はダイキン工業が開発した「マイクロ水力発電システム」だ。出力が22kWのものと出力が75kWのものの2種類がある。80%の設備利用率で稼働させると、出力22kWの製品は年間でおよそ154MWh(15万4000kWh:一般世帯の年間電力消費量にして42世帯分)を発電する。出力75kWの製品は同じ条件で稼働させると年間でおよそ526MWh(52万6000kWh:一般世帯146世帯分)を発電する。どちらも、ダイキン工業が空調機器などの省エネ化などの技術開発の過程で得たものを応用しているという。例えば発電機にはモーターの技術を、発電した電力を系統に連携する機器にはインバーターの技術などを応用している。
図 ダイキン工業が開発した「マイクロ水力発電システム」
出所 DK-Power
ダイキン工業は2013年にマイクロ水力発電システムの開発を開始し、2014年には同社の滋賀製作所内で出力22kWの機器の試運転を開始している。また、同年11月には富山県南砺市に出力22kWの機器を設置して実証実験を開始している。2015年には出力75kWの機器の試運転と実証実験を開始し、今回商品としてマイクロ水力発電システムの普及を図るためにDK-Powerを設立した。
ちなみに現在は神戸市と共同で、「超小型」のマイクロ水力発電システムの開発に取り組んでいる。DK-Powerは、2020年までに一般家庭の年間電力消費量2万3300世帯分に当たる84GWh(8400万kWh)を1年間で発電できるだけの発電機器を設置することを目標としている。