[ニュース]

ダイキン、超小型マイクロ水力発電システム開発を目指し研究を開始

2016/05/26
(木)
SmartGridニューズレター編集部

2016年5月26日、ダイキン工業株式会社(以下:ダイキン、大阪市北区、取締役社長 兼 CEO:十河 政則)は、環境省の「平成28年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の採択を受け、神戸市水道局と共同で上水道の管水路の水流エネルギーを利用して発電する10キロワット以下の超小型のマイクロ水力発電システムの開発を目指し、研究を開始することを発表した。
 図 管水路用マイクロ水力発電システムイメージ

超小型のマイクロ水力発電システムの共同研究を行うにあたり、既にダイキンがが開発済みの22キロワットクラスのマイクロ水力発電システムを神戸市水道局福谷中層配水池に設置し、新たに開発した遠隔制御機能や長期的な性能、メンテナンスなどにかかる運用コストを評価する。同システムは、一般家庭約65軒分※1に相当する年間211メガワット時の発電能力を持つ。
今回の神戸市水道局との共同研究では、上水道施設に設置されている数多くの圧力調整用のバルブに代わる10キロワット以下の超小型のマイクロ水力発電システムの開発を目指し、上水道施設の運用状況の調査および試作機の実証実験を行うことになった。神戸市は、再生可能エネルギーの活用など環境負荷の低減に熱心に取り組んでおり、高低差のある地形がマイクロ水力発電システムの設置に適していることから、今回の共同研究の実施に至った。

一般的に、上水道施設ではまち全体に適切な水圧で水を供給するため、数多くの圧力調整用のバルブを使用している。全国の自治体と協力し、上水道施設に設置されている圧力調整用バルブから超小型のマイクロ水力発電システムへの置き換えを推進することにより、上水道の水圧を調整するのと同時に、これまで利用されていなかった水流エネルギーを使って発電し、CO2排出量の大幅な削減につながる可能性がある。
また、マイクロ水力発電システムは、上水道施設だけでなく、生産過程で水を多く使用する鉄や紙、化学品、薬品、飲料品などの工場への導入を想定しており、設置場所の水力に応じて、発電電力22キロワットクラスおよび75キロワットクラスの発電システムを組み合わせて導入することが可能である。全国の上水道事業および水道用水供給事業は1482箇所※2、工業用水の供給を受けている事業所は3160箇所※3と、同システムの導入ポテンシャルは高いと見込んでおり、自治体や企業と連携しながら全国への普及を推進し、CO2排出量の削減を目指す。

発電概要

  1. 設置場所:神戸市水道局福谷中層配水池マイクロ水力発電所神戸市西区櫨谷町福谷745-1
  2. 最大発電出力:24.1キロワット
  3. 年間可能発電電力量:211メガワット時

※1 電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2015に基づき一般家庭の月間消費電力271.2キロワット時で計算

※2 (厚生労働省HP)「水道の基本統計「平成26年度 水道の種類」」より

※3 (経産省HP)「業種別の統計」より

■リンク
ダイキン

TOPに戻る
最新ニュース一覧

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...