三菱日立パワーシステムズは2018年1月19日、火力発電所で使用する大型ガスタービンで、天然ガスに水素を30%混入して燃焼させる試験に成功したと発表した。試験は同社の高砂工場(兵庫県神戸市)にある試験用設備で実施した。政府が2017年末に決定した「水素基本戦略」(参考記事)の重要な柱の1つである「水素発電」実現に向けた一歩となる。
図 高砂工場にある試験用設備
出所 三菱日立パワーシステムズ
試験では発電所で使用するものとほぼ同じガスタービンを使用し、タービンに投入する燃焼ガスの温度(タービン入口温度)が1600℃になる条件で実施した。その結果、水素を30%混入させても安定して燃焼が続き、窒素酸化物(NOx)の排出量や燃焼時の振動なども実運用可能な範囲に収まったとしている。そして、既存の天然ガス火力発電に比べて、CO2排出量を10%抑制できたという。ちなみに、タービン入口温度1600℃は、発電出力にすると700MW(70万kW)に相当する。
今回の試験では、混合ガスを燃焼させる「燃焼器」を新たに開発した。この燃焼器では燃焼前に燃料と空気を混合させる「予混合燃焼方式」を採用している。燃料を送り込む燃料ノズルを利用して空気旋回流を作り、燃料と空気をより均一に混合させることが可能になる、NOx排出量を抑制が可能になった。燃焼器を除く部分は従来の設備をそのまま流用でき、天然ガス発電所から水素混焼発電所への転換にかかるコストを抑制できるという。
三菱日立パワーシステムズは、三菱重工業が持つCCS技術(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2回収貯留)も活用して、さらにCO2排出量を抑制し、水素発電の実現に向けて研究を続けるとしている。
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三菱日立パワーシステムズ