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米GE Vernova、アンモニアガスタービンの開発に向けた燃焼試験を完成

F型ガスタービンの燃料を100%アンモニアに転換へ
2025/06/24
(火)

アンモニアガスタービン燃焼器開発に向け試験設備新設

 エネルギー関連事業を手掛ける米GE Vernova Inc.(以下、GEV)と株式会社IHI(以下、IHI)は、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを燃料に使用するアンモニアガスタービン燃焼器の開発に向け、IHI相生工場に大型燃焼試験設備(LCT)を新設した。従来は化石燃料を使用するF型ガスタービンの燃料を100%アンモニアに転換し、CO2排出量を削減するという。同設備での燃焼試験を2025年夏に開始する。IHIが2025年6月20日に発表した。

図1 IHI相生工場に新設された大型燃焼試験設備(LCT)

出所 株式会社IHI プレスリリース 2025年6月20日、「IHIとGE Vernovaによる、アンモニアガスタービン開発向け大型燃焼試験設備が完工」

2030年までに実用化を計画

 GE Vernova(GEV)は、同社F型ガスタービンの燃料を100%アンモニアに転換するため、2030年までにアンモニアガスタービン燃焼器の実用化を目指している。そのため、2024年にIHIと共同開発の契約を締結した。今回の取り組みは、この締結に基づいたもの。

 IHI相生工場に新設したLCTは、GEVのF型ガスタービンの圧力、温度、空気・燃料流量といった実際の運転条件下で燃焼試験を実施するために設計した。両社は、LCTでの実機サイズの試験用燃焼器を用いた100%アンモニア燃料による燃焼試験を2025年夏に開始する。

 GEVテクノロジーストラテジー シニアディレクターのジェフリー・ゴールドミア 氏は、「今回の発表は、発電事業の脱炭素化を目指してアンモニアを燃料として利用する技術の開発プロジェクトで、アンモニアバリューチェーンの初期検討から技術の実用化への移行を意味する。これは既存の発電設備を活かした脱炭素化の道筋を開発することを目指す、GEVとIHIの協業の新たな段階になる」と強調する。

 IHI執行役員兼事業開発統括本部副本部長兼アンモニアバリューチェーンプロジェクト部長 山本建介 氏は、「IHIは2024年に締結した共同開発契約のもと、2030年までにアンモニア100%燃焼システムの実用化を目指す。LCTは燃焼器開発を担うIHIの主要試験設備であり、GEVとの共同開発における重要な拠点になる。IHIは既にアンモニア100%燃焼ガスタービンIM270(出力 2MW)を開発しており、この技術をさらに進化させ、大規模燃焼技術の開発に取り組む」と述べる。


参考サイト

株式会社IHI プレスリリース 2025年6月20日、「IHIとGE Vernovaによる、アンモニアガスタービン開発向け大型燃焼試験設備が完工」

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