東北電力は2018年3月29日、VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)の実証実験を開始すると発表した。期間は2018年度~2020年度一杯までの3年間。実験が終了する頃には、実際にVPPサービスを提供することを目指す。
今回の実験では、法人や一般家庭が所有している太陽光発電システム、ヒートポンプ、定置型蓄電池、空調、自家発電設備といった機器を活用する。東北電力が以上のような機器を遠隔制御して、「調整力」となる電力を作り出し、需給バランス解消に役立てる。さらに、法人や一般家庭に向けて、省エネルギーやコスト低減に役立つサービスを開発するともしている。東北電力は例として、太陽光発電システムと定置型蓄電池を組み合わせ、定置型蓄電池の充放電スケジュールを調整し、1日の電力使用量の変化をなだらかにするといたサービスを挙げている。
図 東北電力のVPP実証実験と、それに合わせて開発する顧客向けサービスの概要
出所 東北電力
さらにVPP実験では、自治体や公共施設が保有する太陽光発電システムや定置型蓄電池も利用する。これも東北電力が監視し、運転状態を制御して、調整力を作り出す。VPPのリソースを提供した自治体には、対価を払う。
また、今後の電気自動車(EV)の普及をにらんで、駐車中のEVが内蔵する蓄電池も調整力を作るために活用する。電力系統につながっているEVの充放電を外部からの指示で制御するV2G(Vehicle to Grid)技術を活用して、日射量が昼間など、太陽光発電による発電量が多くなる時間帯にはEVに余剰分の電力を充電し。電力需要が伸びる夕方には、EVから放電して、各家庭で電力を供給する。EV関連ではVPPの実験だけではなく、それに関係する顧客向けサービスの開発も予定しているという。
東北電力は今回の実験を、企業、大学、自治体などと連携して進めるとしている。実験開始前の2018年3月には、「VPP実証タスクフォース」を設立し、実験で利用できるエネルギーリソースを2018年度上期中に選定し、システムを構築する。2018年下期にシステムが出来上がったら実験開始。実験中は、研究開発センターで基礎実証を続けるという。
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東北電力