中国からの提案:900kWの急速充電規格
去る2018年8月28日、日本のチャデモ協議会(表1)と中国電力企業連合会は、中国からの提案(図1)を受け、次世代EV向けの、超高出力充電規格(1500V×600A=900kW)を共同で開発することに合意し、調印した。900kWは、現在普及している急速充電の10倍となる高出力規格である。
表1 CHAdeMO(チャデモ)協議会のプロフィール(敬称略)
出所 https://www.chademo.com/wp2016/wp-content/japan-uploads/Brochure2017jp.pdf
図1 中国からの提案内容
日中が共同で開発するこの次世代のEV急速充電統一規格は、2020年に向けて、EV乗用車だけでなくEVバスやEVトラックなどの大型車にも対応可能な、高出力の規格を策定する計画だ。
すでに、急速充電規格では、表2に示すように、充電コネクタの規格や通信規格(CANかPLCを採用。後述)などの違いから、日本のCHAdeMO方式、中国のGB/T方式、欧米のコンボ(CCS:Combined Charging System)方式と、3つの規格が激しく競合しており、これにテスラ方式が加わった状況となっている。
表2 国際充電規格の普及状況(総台数:253,400基)
※日独間では政府間および民間ベースで年2回程度の充電器規格に関する会合を開催。日中間では、CATARC(中国自動車技術研究センター)、CAAM(中国汽車工業協会)等と、CHAdeMO協議会、JARIが中心となり対話を実施。
出所 経済産業省「第2回 自動車新時代戦略会議」、自動車新時代戦略会議 中間整理 (案)、2018年7月24日
表2からわかるように、2018年4月時点の世界の主な急速充電器設置数(総数は約253,400基)のうち、EVの普及で先行する中国のGB/T方式がおよそ22万基で、全体の87%を占めるのに対して、日本のCHAdeMO(チャデモ)はおよそ1万8,000基で7%、欧米は7,000基で3%となる。このため、日本と中国で規格を統一できれば、両国をあわせたシェアは94%(87%+7%)と90%を超え、圧倒的な占有率となる。もともと中国の「GB/T方式」は日本のCHAdeMO方式をベースに開発された経緯もあって親和性がよく、統一規格実現への期待は大きい。