ソーラーフロンティアは2019年1月17日、研究開発中のCIS(Copper、Indium、Selenium:銅、インジウム、セレン)薄膜太陽電池セルがエネルギー変換効率23.35%を記録し、世界記録を更新したと発表した。2017年11月に同社が樹立した世界記録である22.9%を約0.4ポイント上回るもので(参考記事)、2018年末に国立研究開発法人産業技術総合研究所が新記録達成を確認した。
図 変換効率23.35%を記録し、世界記録を更新した太陽電池セル
出所 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
記録を更新したセルは面積約1cm2で、「CIS系薄膜太陽電池セル」の中でもカドミウム(Cd)を使用しないもの。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究で開発に成功した。2017年11月に変換効率22.9%を記録し、当時の世界記録を更新したセルはカドミウムを使用していた。
今回の記録は太陽電池が発電する部分である「CIS光吸収層」の改良と、この層の表面処理の改善、そしてカドミウムを使用しないCIS薄膜太陽電池の技術を高め、それぞれの改善点を最適な条件で組み合わせることで達成した。
ソーラーフロンティアは、同社のCIS薄膜太陽電池がカドミウムや鉛などの毒性がある物質を使うことなく、比較的少ない資源で高い変換効率を達成しているとアピールしている。今後は、今回開発したセルに投入した技術を市販商品に応用し、同社が販売するCIS太陽電池モジュールの高出力化と低コスト化に取り組むとしている。