Volkswagen Groupは2019年3月12日(中央ヨーロッパ時間)、今後10年の間に電気自動車(EV)を70車種発売するという目標を発表した。2017年9月に同社が発表した“Roadmap E”では、2030年までにEVを50車種発売するとしていたが(参考記事)、この目標を上方修正した。Volkswagen Group取締役会長のHerbert Diess博士は今回の上方修正について「パリ協定を考慮して決めた。今後は自動車の生産から輸送など、消費者の手に届くまでの各段階でCO2排出量をゼロにしていく」としている。
図 Volkswagen Group取締役会長のHerbert Diess博士
出所 Volkswagen Group
この計画は2050年までに達成予定としているものであり、3段階でCO2排出量を削減していく。1段階目は、現在排出しているCO2を効果的、かつ長続きする形で削減していく。2段階目は、生産などの各業務で使用する電力を再生可能エネルギー由来のものに転換していく。3段階目は、どうしても避けられないCO2排出分を何らかの形で相殺する。Volkswagen Groupはすでにこの計画実行に着手しており、特に鉄やアルミニウムの調達段階にCO2排出量を大きく削減する余地があると見ているという。
そしてVolkswagen Groupは、生産販売した車両が排出するCO2を2025年までに2015年比で30%削減するという目標も掲げている。そして、この目標を達成するために2023年までに300億ユーロ(3兆7800億円:1ユーロ=126円で換算)を投資する。その結果、グループで販売する車両のうちEVの比率が2030年までに少なくとも40%に達するという。そして、今年(2019年)からAudiが「Audi e-tron」の販売を、Porscheが「Taycan」の販売を始める。どちらもすでに2万台ほどの予約を受けているという。これに続いて、Volkswagenの「ID. CROZZ」「ID. BUZZ」「ID. VIZZION」、スペインSEATの「el-born」、チェコŠKODAの「Vision E」など、普及価格帯のEVの販売が始まる。
そして、電気自動車の生産量増加に対応するためにVolkswagen Groupは、韓国LG化学、韓国SKイノベーション、韓国サムスンSDI、中国CATL(Contemporary Amperex Technology)の4社とリチウムイオン蓄電池セルの供給契約を締結している。さらなる需要の増加を予測して、Volkswagen Group自身がヨーロッパにリチウムイオン蓄電池セルの工場を建設することも検討しているという。加えて、1億ドルを出資しているアメリカQuantumScapeと協力して(参考記事)、全固体電池の実用化も目指すとしている。
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