[特別レポート]

ルートとユビテックによる地域WiMAX戦略(2):モバイルIPが活躍するWiMAX

2008/05/09
(金)
SmartGridニューズレター編集部

≪2≫地域の事業者との密接な関係によりメンテナンスをサポート

■WiMAXは新しいシステムなので、サービスやメンテナンスなどが大変ではないかと思います。トラブルが起きた場合は、誰がどのように対応するのでしょうか。特にデジタル・デバイドの解消を目指す地域は、アクセスもしにくい印象があります。

真野浩氏(ルート 代表取締役)
真野浩氏
(ルート 代表取締役)

真野氏 機器の話とオペレーションの話は別なことです。今回は、地域バンドということなので、オペレーションは地域でやることになります。ですから、トラブルが起きても地域の人が対応します。そこが水平分業のいいところです。

とはいっても、それぞれの地域で使う機械がまったく別々なものだと、スケール・メリットがないので機器も高くなります。ですから、ハードウェアについては、機器ベンダとして全国に保守拠点や営業拠点があるような会社がいいと思います。そうなると日本のメーカーのほうが強いかもしれません。海外メーカーの機器を設置しても、メンテナンスの点で苦労する可能性があります。

荻野氏 オペレーションは地域で行うといったときに、WiMAXは新しいシステムなので、よくわからないということになります。当社ユビテックの強みは、インターネットのことが良くわかっていて、機材のことも良くわかっているという点です。ですからそれらに関する情報提供もできます。また、FTTHやADSLの経験も持つ全国の工事業者とも密接に連携しており、各地域においてはそうした工事業者が地元に密着した工事業者のサポートを行うことも可能です。デジタル・デバイドは山間地域に多いので、そうした地域に行くということになると、地元に密着した工事業者が一番適しているという面もあります。町の電気屋さんというようなイメージですね。

真野氏 加入者回線を敷設するときに一番大事なのは、ユーザーが加入したいと言ったときに、CPE(宅内装置)を設置する場合、専門にお願いできるところがあると苦労しないのです。そこで、地場の電気屋さんとか工事業者などが近くにいてくれれば助かります。テレビを買ったときに、家まで配達してくれたついでにアンテナも取りつけて、帰ってくれるのと同じです。

■「ルート=ユビテック連合」はどこから始まるのでしょうか。

真野氏 当社とユビテックは、そのような固い「連合」のようなことをしているわけではありません。ルートはあくまで機器を開発する会社で、買ってくれるユーザーさんがいましたらどこでもアライドテレシスグループとして機器提供を行います。ただ、事業者といっても、機器を買っても電力系通信事業者のように自分で設置やシステム設計ができるノウハウがあるとは限りません。そこで、そうしたノウハウが必要な事業者に対して、ユビテックさんが協力するという構図になります。

当社は機器ベンダとして、その地域に合ったものを作り、成功事例のリファレンス(参照)を作るなどして、パートナーと一緒にやっていきたいと考えています。

荻野氏 ユビテックは、原則として機器ベンダ及び通信事業者に対して中立な立場で地域の事業者様をご支援しています。事業者様の計画を効率的、効果的に実現するためにどのような機材をどうインテグレーションしていくのか? 課題をどう克服するか? を地域の事業者様の視点でご支援することがユビテックの腕の見せ所となります。そのためには機器ベンダーさんとの緩やかな連携は非常に重要です。ルートさんのように地域向け機器を開発し、無線の技術力を備えた機器ベンダとの連携により、当社もお客様に提供する効果的なソリューションの幅を広げることができると考えています。

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