≪1≫2008年5月採択のIEEE 802.3baベースライン方式
前回(「802.1/802.3の標準化動向(9):40Gbps/100Gbpsイーサネット(IEEE 802.3ba)の目標仕様が最終決定」)のレポートにもあったように、2008年5月の中間会合をもって新規提案の受け付けが閉め切られた。今後は、これまでに提案のあった方式の中からベースライン方式と呼ばれる方式案を選定し、それらのベースライン方式に基づいて最初のドラフト仕様(ドラフト1.0)を発行する作業が行われていく。ベースライン方式の採択は2008年7月の総会において完了し、続く2008年9月の中間会合においてドラフト1.0が発行されるスケジュールとなっている。
2008年5月にドイツ・ミュンヘンで開催された802.3WG中間会合においてベースライン方式の採択が開始され、多くのベースライン方式が採択された。次に、採択されたベースライン方式の概要について紹介する。
〔1〕802.3ba規格の章構成
802.3ba規格(ドラフト)の章立て構成が採択された。
ドラフトの章立ては次の通りである。この章立てに沿って、今後、各章の内容が審議され、決定されていく。
(1)802.3規格の修正項目
①1章 全体概要:40Gbps/100Gbpsイーサネットの追加
②4章 MAC:MACの通信速度と関連パラメータに40Gbps/100Gbpsイーサネットのものを追加
③30章 管理:40Gbps/100Gbpsイーサネットの管理項目を追加
④31章 MAC制御:40Gbps/100Gbpsイーサネットに対応したフロー制御(Pause)の動作タイミングを追加
⑤45章 管理情報入出力(MDIO:Management Data Input/Output):40Gbps/100Gbps PHY(物理層)を管理するための新規レジスタの追加
⑥69章~74章 バックプレーン・イーサネット関連:バックプレーン・イーサネットの40Gbps拡張のための変更(40Gbpsのバックプレーン・イーサネットにおいては、10Gbpsバックプレーン・イーサネットの技術や方式を利用する)
(2)802.3規格への追加新章
①40Gbps/100Gbpsイーサネットの概要
②リコンシリエーション副層(RS:Reconciliation Sublayer)と媒体非依存インタフェース(MII:Medium Independent Interface)
③物理符号副層(PCS:Physical Coding Sublayer)
④物理媒体接続(PMA:Physical Media Attachment)
⑤電子インタフェース(40Gbps、100Gbps各方式に対応したAUI※)
⑥光インタフェース向けFEC(※)副層(光インタフェースにFECを使用する方式が規定された場合のみ)
⑦40Gbpsバックプレーン向けインタフェース(PMD:Physical Medium Dependent)
⑧40Gbps/100Gbps銅線ケーブル向けインタフェース
⑨40Gbps/100Gbpsマルチモード光ファイバ向けインタフェース
⑩40Gbps 10kmシングルモード光ファイバ向けインタフェース
⑪100Gbps 10kmシングルモード光ファイバ向けインタフェース
⑫100Gbps 40kmシングルモード光ファイバ向けインタフェース
⑬その他、テスト方法やチャンネル特性を規定するためのアネックス(追補)
※ AUI:Attachment Unit Interface
※ FEC:Forward Error Correction、前方誤り訂正
〔2〕各伝送方式の命名ルール
伝送方式(物理インタフェース)の方式命名ルールが、図1の通り採択された。
以上のルールに従い、現在までのベースライン採択された伝送方式(物理インタフェース)[後述]の名称は次の通りとなる。
①40GBASE-KR4:40Gbpsイーサネットのバックプレーン向け方式(4並列方式)
②40GBASE-SR4:40Gbpsイーサネットの光100m向け方式(4並列方式)
③100GBASE-SR10:100Gbpsイーサネットの光100m向け方式(10並列方式
④100GBASE-LR4:100Gbpsイーサネットの光10km向け方式(4波多重方式)
⑤100GBASE-ER4:100Gbpsイーサネットの光40km向け方式(4波多重方式)