[スペシャルインタビュー]

ウィルコムの次世代PHS(XGP)戦略を聞く(4):次世代PHS(XGP)のロードマップ

2008/10/21
(火)
SmartGridニューズレター編集部

≪2≫次世代PHS(XGP)の今後の展開

■ 今後の次世代PHS(XGP)に対応した展開は?

 これまでの取り組みをさらに進化させ、今後は、図21に示すように、SDR(Software Defined Radio、ソフトウェア無線 ※5)技術を使用して、当社の端末(ジャケットフォン。無線モジュールを着脱可能にしたPHS端末)に、PHS以外に対応できるモジュールつくっているのです。当社のPHS端末(ジャケット)はこれまでウィルコム専用の端末でした。しかし、現在は、さらに進化させて、図21に示すようにSDR技術によるマルチシステム対応のモジュール(エコシステム)を開発中です。例えばジャケットに共通インタフェースを装備し、GSMからCDMA、UMTS、Wi-Fi、Bluetooth、そしてXGP(BWA+PHS)に対応できるようにすれば、全部で利用できますし、ジャケット(現在はPHS端末専用)を世界中に売りにいけるのです。現在、いろいろな企業とご相談して、つくっていただいているところです。

※5 SDR:Software Defined Radio、ソフトウェア無線。携帯電話、PHS、無線LANなど、周波数や帯域幅、変調方式などが異なる無線通信を、ハードウェアを変更することなく、ソフトウェアを書き換えることで対応させる技術


図21 SDR技術によるマルチシステム対応のモジュール(エコシステム)(クリックで拡大)


■ これはいつごろからラインナップするのですか。

 このマルチシステム対応のモジュールのことを、コア・モジュールと呼びますが、すでにご協力者がいらっしゃいまして、海外の例えば新しいチャイナ・ユニコムさんと組んでやることが合意されています。チャイナ・ユニコムはPHSだけでなくGSMのサービスの提供もしていますので、大変大きなマーケットが期待されます。

具体的には、このコア・モジュール(エコシステム)に対応した端末群は、図22に示すようにいろいろとバラエティに富んだ端末が開発されています

 PHSという独自システムであるため、端末の種類が少ないということを克服していろいろな端末が開発されてくることに大きな期待を持っていますし、もちろん新しいスマートフォンも、このモジュール・コンセプトのもとに開発されていきます。こうしたオープン化をしながら次世代のワイヤレス・ブロードバンドをトータルに進めていこうというのが我々の考え方なのです。


図22 コア・モジュール(エコシステム)に対応した端末群(クリックで拡大)



図23 ウィルコムのXGP端末(クリックで拡大)


■ 今後の次世代PHS(XGP)が商用サービスされるまでのロードマップはいかがでしょうか。

 まず2009年の4月に、エリア限定サービスを開始します。本格的な商用サービスは2009年の10月に開始する予定です。

次世代PHSの伝送速度は、仕様上は100Mbps(上りと下り各100Mbps)以上を目指すと宣言させていただいていますが当初のサービスは20Mbpsから40Mbpsぐらいを目指して開発しています。

■ ありがとうございました。

――了――


プロフィール

(株)ウィルコム 取締役 執行役員 副社長

近 義起(ちか よしおき)

現職:株式会社ウィルコム 取締役 執行役員 副社長

【略 歴】
1985(昭和60)年 3 月 茨城大学 理学部(物理学科) 卒業
1985(昭和60)年 4 月 第二電電株式会社(現KDDI 株式会社) 入社
1994(平成 6)年 8 月 株式会社DDI ポケット企画に出向
2000(平成12)年 10 月 DDI ポケット株式会社 技術企画部長
2002(平成14)年 6 月 同社 取締役技術本部長
2003(平成15)年 11 月 同社 取締役プロダクト統括本部長兼技術本部長
2004(平成16)年 10 月 同社 執行役員プロダクト統括本部長兼技術本部長
2005(平成17)年 2 月 社名変更により株式会社ウィルコム執行役員プロダクト統括本部長兼技術本部長
2005(平成17)年 11 月 同社 執行役員
2006(平成18)年 10 月 同社 執行役員副社長
2007(平成19)年 6 月 同社 取締役 執行役員副社長
現在に至る

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