[スペシャルインタビュー]

【台湾のブロードバンド事情】壮大なM-台湾計画に基づく国際戦略を聞く(その2:最終回)

2008/11/07
(金)
SmartGridニューズレター編集部

WiMAX、LTE、光ファイバ(FTTH)など新しいブロードバンドの国際的な波を背景に、これを国家的なビジネス・チャンスにしようと、台湾では国家的プロジェクト「M-台湾計画」が推進されている(MはMobileのM)。すでにパソコンやエレクトロニクス部品の分野で国際的な生産拠点にとなった台湾が、ブロードバンド通信市場においても国際的な生産拠点となり、そのリーダーを目指すのがM-台湾計画である。そのため、台湾をFTTHとWiMAXでブロードバンド・アイランド化し、ブロードバンドの国際的なテストベッドにしようと意欲的な取り組みを展開している。そこで、野村総合研究所(NRI) 台北支店で活躍されている村井 則之氏に、「WiMAXや光ファイバ(FTTH)」の2つを軸に展開する台湾のブロードバンド戦略を2回に分けてお聞きした。
今回は、第1回のM-台湾計画のお話に続いて、WiMAXにおける周波数オークションや、WiMAXを軸にした台湾の通信事業者の取り組み、今後の展開などを中心にお聞きした。
(文中、敬称略、聞き手:インプレスR&D 標準技術編集グループ)

【台湾のブロードバンド事情】壮大なM-台湾計画に基づく国際戦略を聞く(その2)

≪1≫WiMAXオークションでライセンス(免許)を6社へ

■ ところで、WiMAXを具体的に台湾に導入するためには、周波数が必要ですが、WiMAX用の周波数の割り当てやスケジュールは?

村井 それでは、実際に、どういうスケジュールでWiMAXが検討されてきたかを簡単に説明しましょう。

台湾ではM-台湾計画を具体化するために、2007年7月末に電波のオークションが行われましたが、その結果は、表1に示すように、

(1)台湾南部:遠伝電信(Far Eastone Telecommunications)
(2)台湾南部:大同電信(Tatung InfoComm)
(3)台湾北部:威邁思電信(Vmax Telecom)
(4)台湾北部:全球一動(Global Mobile)
(5)台湾北部:大衆電信(FITEL:First International Telecom)
(6)台湾南部:威達有線電視(Vaster Cable TV System)

の6社(台湾南部3社、台湾北部3社)に、2.5〜2.6GHz帯の周波数を各30MHz幅(計30MHz幅×6=180MHz幅)が割り当てられたのです。


表1 台湾のWiMAXライセンス獲得通信事業者と商用サービス計画(村井氏の資料を引用)(クリックで拡大)


この電波のオークションは、交通部や経済部工業局とかではなく、先ほど申し上げた台湾の電波法管轄機関であるNCCが、行政とは独立した中立的な組織によって行われました。

■ NCCと交通部の業務の切り分けはどのようになっているのですか?

村井 分かりやすく申し上げますと、NCCは基本的には、市場の観点で周波数の規制などやっていく組織で、「ライセンス(免許)の管理」を担当しています。一方、「周波数の管理(電波政策)」は交通部がやるという切り分けになっています。

この結果、具体的には図4に示すように、2.5〜2.6GHz帯に、WiMAXライセンス用の周波数帯〔用途:TDD(時分割複信)〕と6社の運営通信事業者が決まりました。


図4 台湾のWiMAXライセンス獲得通信事業者と商用サービス計画(村井氏の資料を引用)(クリックで拡大)


村井 いろいろと議論はありましたが、図4からわかるように、今回割り当てられたのは、

(1)2.565〜2.595 GHz帯(南・北の2社。各30MHz幅)
(2)2.595〜2.625 GHz帯(南・北の2社。各30MHz幅)
(3)2.660〜2.690 GHz帯(南・北の2社。各30MHz幅)

の3個(6社)の帯域です。

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