[展示会]

〔CEATEC JAPAN 2009レポート(2)〕NTTドコモのLTE戦略とUQ WiMAXの新しい展開!

2009/11/04
(水)
SmartGridニューズレター編集部

10周年を迎えたIT・エレクトロニクス総合展示会「CEATEC JAPAN 2009」(主催:CEATEC JAPAN実施協議会)が、さる10月6日~10月10日までの5日間、千葉県・幕張メッセで開催された。今回のテーマは「デジタルコンバージェンスが明日をつくる、未来へつなぐ」。世界同時不況の逆風を受けて、出展社数は590社(2008年:804社)と27%減、来場者数は150,302名(2008年:196,630名)と24%減、また海外からの出展は22カ国/263社(2008年:27カ国/289社)とやや減少したが、フランス(6社⇒24社)、韓国(47社⇒62社)と大幅に増加した点が目立った。出展社数、来場者数が減少したとはいえ、「グリーンITパビリオン」をはじめとする多彩な出展内容は、次世代に向かって新しいサービスや技術が意欲的に紹介され、来場者に強くアピールした。ここでは、前回の「IPTV、DLNA、HD-PLCの次世代サービス登場!」に続いて、「NTTドコモのLTE戦略とUQ WiMAX(UQコミュニケーションズ)の新しい展開!」をレポートする。

〔CEATEC JAPAN 2009レポート②〕NTTドコモのLTE戦略とUQ WiMAXの新しい展開!
CEATEC JAPAN 2009入口の案内板。写真には見えないが、案内板の両サイドに太陽光発電用の36枚のソーラーパネル(1枚の大きさ:高さ1318×横幅1004×厚さ46mm)が張られグリーンのイメージを演出した(発電された電力は施設内で利用された)。

〔CEATEC JAPAN 2009レポート②〕
NTTドコモのLTE戦略とUQ WiMAXの新しい展開!
LTE(3.9G)  NTTドコモ:LTEで250Mbpsを実現。「LTE-PF」対応のチップも出展
UQ WiMAX  新WiMAX内蔵MIDやWiMAX/CDMAのデュアル端末を展示

≪1≫NTTドコモ:すでに250Mbpsの高速化を実現したLTEを展示

モバイルWiMAXやHSPA+、XGPなど3.5世代の高速ワイヤレスブロードバンドのサービスが次々に提供されている中、NTTドコモ(写真1)は、現在最も話題となり2010年に向けて導入が進められているオールIP対応のLTE(3.9世代)の具体的な展示を行い、大きな注目を集めた。なお、同時期の2009年10月5日~9日にジュネーブで開催されたITU TELECOM WORLD 2009でもLTEに関する同様の展示・デモが行われた。


写真1 CEATEC JAPAN 2009のNTTドコモブース(クリックで拡大)

写真1 CEATEC JAPAN 2009のNTTドコモブース


〔1〕250Mbps以上を実現したLTE実験装置の特徴

NTTドコモは、2008年12月に3GPPで完了したLTE(3GPPリリース8)仕様に基づく同社の実証実験において、すでに下り回線に4×4MIMO(送信側4本、受信側4本のアンテナを使用)、周波数帯域幅20MHzを使用して最大250Mbpsを超える伝送速度を実現したことをアピールした。写真2に、LTE実験装置の主な特徴を示す。


写真2 NTTドコモのLTE実験装置の主な特徴(クリックで拡大)

写真2 NTTドコモのLTE実験装置の主な特徴


〔2〕「LTE-PF対応の初の端末チップセットがお目見え

また、すでにNTTドコモとNEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、富士通の4社は「LTE-PF(LTEに対応の通信プラットフォーム)を共同開発(2009年10月1日発表)しているが、これに対応した初のLTE端末チップセットのエンジニアリングサンプル(写真3)を出展した。エンジニアリングサンプルとは、LTEの主要な機能の性能評価をハードウェアへの実装レベルで評価を行うための試作チップのこと。

〔LTE-PF:http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/091001_01.html

この「LTE-PFは、LTEのUE(User Equipment、端末)カテゴリー3(表1参照)に対応し、最大伝送速度は下り100Mbps、上り50Mbpsの高速伝送をサポートしている。

さらに、モックアップ(実物大の模型)ながら、LTEデータ通信用の「富士通製ExpressCard型データ通信端末」と「LG電子製USB型データ通信端末」を出展(写真4)し、LTEの商用サービスが間近いことを来場者に印象付けた。


写真3 LTE-PF(プラットフォーム)に対応したLTE端末チップセットのエンジニアリングサンプル(クリックで拡大)

写真3 LTE-PF(プラットフォーム)に対応したLTE端末チップセットのエンジニアリングサンプル

項 目 仕 様
UE(端末)
カテゴリー
LTEのUEカテゴリー3対応
(表1参照)
複信方式 FDD(周波数分割複信)
最大伝送速度 下り100Mbps/上り50Mbps
MIMO ①信号分離方式:MLDベース
②下り:SU-MIMO(2×2、4×2)
③上り:MU-MIMO

MLD:Maximum Likelihood Detection、最尤復号
SU-MIMO:Single-user Multiple Input Multiple Output、シングルユーザーMIMO
MU-MIMO:Multi-user Multiple Input Multiple Output、マルチMIMO


表1 FDD方式のLTEに関する5つのUE(端末)カテゴリー〔3GPP TS36.104 v8.5.0(2009-09)〕 〔最大伝送速度はカッコ内の数値(3GPP TS 36.306 V8.5.0仕様)を丸めたもの〕
  カテゴリー1 カテゴリー2 カテゴリー3 カテゴリー4 カテゴリー5
最大伝送速度
〔Mbps〕
下り 10
(10.296)
50
(51.024)
100
(102.048)
150
(150.752)
300
(299.552)
上り 5
(5.160 )
25
(25.456)
50
(51.024)
50
(51.024)
75
(75.376)
周波数帯域幅   20MHz幅
変調方式 下り QPSK、16QAM、64QAM
上り QPSK、16QAM QPSK、16QAM、64QAM
MIMO 下り オプション 2×2MIMO 4×4MIMO

〔参照資料: 3GPP TS 36.306 V8.5.0(2009-09) Technical Specification 『3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) User Equipment (UE) radio access capabilities(Release 8)』


写真4 LTEデータ通信端末コンセプトモック(クリックで拡大)
富士通製ExpressCard型データ通信端末(左)とLG電子製USB型データ通信端末(右)

写真4 LTEデータ通信端末コンセプトモック。富士通製ExpressCard型データ通信端末(左)とLG電子製USB型データ通信端末(右)


〔3〕見えてきたNTTドコモのLTE導入に対するロードマップ

また、NTTドコモブースでは、今後のLTE商用サービスおよびその後のロードマップを示した。まず、写真5に示すように、現在、商用サービスを提供している3G(W-CDMA)や3.5G(HSPA=HSDPA+HSUPA)システムから3.9GのLTEシステムへ、さらに4GのIMT-Advancedシステムに至るモバイルブロードバンドの大局的なロードマップを示し、これらの拡張によって、今後スムースに次世代システムに移行・展開できることを紹介した。


写真5 3G(W-CDMA)や3.5G(HSPA)システムから3.9G(LTE)/4Gシステムへの拡張イメージ(クリックで拡大)

写真5 3G(W-CDMA)や3.5G(HSPA)システムから3.9G(LTE)/4Gシステムへの拡張イメージ


具体的には写真6に示すように、LTE商用サービスが提供される予定の2010年末には、2G(PDC:Personal Digital Cellular、2012年3月末にサービス終了)と3G(HSPA)と3.9G(LTE)の混在環境となるが、その時点のLTE端末は、現行の3G機能も備えたデュアルモードの端末となる。すなわち、LTEサービスを提供しているエリア外では現行の3Gサービスを利用できるように対応する。音声(回線交換:CS)については、当面は既存の3G網と連携させて提供(CSフォールバックという)し、オールIPによるLTEのサービスエリアの拡大に合わせて、音声通信はLTEシステム(パケット交換ドメイン:PS)で提供されるようになる予定だ。


写真6 2Gと3GとLTE(3.9G)の混在環境におけるデュアルモード端末の関係(クリックで拡大)

写真6 2Gと3GとLTE(3.9G)の混在環境におけるデュアルモード端末の関係


さらに、写真7-1に示すように、LTEが普及しさらに4GのIMT-Advancedのサービスが提供される2015年頃の4G端末は、3GにもLTE(3.9G)にも4G(IMT-Advanced)にも対応するトリプルモード端末となるイメージを紹介。また、2020年頃には、3GからLTEへの移行が完了し、回線交換(CS)サービスもパケット交換(PS)サービスもすべてパケットネットワーク上で提供される時代を迎えると予測し、その時点ではLTE/4Gのデュアルモード端末となるというロードマップを示した(写真7-2)


写真7-1 現行の3GとLTE(3.9G)と4G(IMT-Advanced)の混在環境におけるトリプルモード端末の展開(クリックで拡大)

写真7-1 現行の3GとLTE(3.9G)と4G(IMT-Advanced)の混在環境におけるトリプルモード端末の展開


写真7-2 2020年頃:3GからLTEへの移行が完了。すべてのサービスはパケットネットワーク上で提供される時代を迎えると予測。LTE/4Gのデュアルモード端末時代へ。(クリックで拡大)

写真7-2 2020年頃:3GからLTEへの移行が完了。すべてのサービスはパケットネットワーク上で提供される時代を迎えると予測。LTE/4Gのデュアルモード端末時代へ。


なお、LTEサービスを実現するために重要となる周波数については、2009年6月に総務省から新たに1.5GHz帯に30MHz幅(上り15 MHz幅/下り15MHz幅)がNTTドコモに割り当てられたが、今後、既存の800MHzや1.7GHz帯、2GHz帯等も使用しながらLTEのサービスが展開されていくことになろう。(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/14457.html

〔4〕LTEの発展型であるLTE-Advancedを4G候補として提案

このような流れを背景に、国際電気通信連合の無線通信部門「ITU-R」のWP 5D(Working Party 5D:作業班5D)では、第4世代(4G)の標準化の動きが活発化してきた。2009年10月には、第4世代(IMT-Advanced)の候補として、LTEの発展型であるLTE-Advancedや現在のIEEE802.16e(モバイルWiMAXリリース1)の発展型であるIEEE802.16m(モバイルWiMAXリリース2)などが提案され、2011年2月の勧告化を目指して標準化作業が開始されている。


≪2≫UQコミュニケーションズ:次世代のモバイルコンピューティングをアピール

UQコミュニケーションズは、2009年7月から、モバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」の商用サービスを開始したが、日本においては、すでにモバイルWiMAXモジュールを内蔵したノートパソコンが続々と発売され、さらに新しいWindows7対応のWiMAX内蔵パソコンやデータ通信カードの新しい機種が次々に登場。さらに「UQ WiMAX」サービス地域も順次拡大し、またMVNO戦略も強化されてすでに29社がMVNOとなっている(2009年10月現在。MVNO:Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)。

社団法人電気通信事業者協会(TCA)が初めて実施した2009年9月末のBWA(Broadband Wireless Access)契約数の調査結果によると、UQ WiMAXの契約者数は21,700件となった。


写真8 CEATEC JAPAN 2009のUQコミュニケーションズのブース(クリックで拡大)

写真8 CEATEC JAPAN 2009のUQコミュニケーションズのブース


〔1〕ポータブルナビやMIDにWiMAXを適用した次世代の活用をデモ

一方、WiMAX の適用範囲も順次拡大してきているが、CEATEC JAPAN 2009では、写真9に示す「自動車システムでのWiMAX活用デモ」が行われ、クラリオンのWiMAX搭載ポータブルナビ「Clarion MiND」(Linux OS搭載)端末で「Googleマップ連携目的地検索」「サーバー連携楽曲検索」などのデモが行われた。さらに、参考出品ながらWiMAX内蔵のMID(モバイルインターネットデバイス)として、「Yukyung(ユーキョン)Technologies製のViliv S5(韓国)」や工人舎製PM1WX16SA」などを展示(写真10)し、次世代のモバイルコンピューティングのイメージをアピールした。


写真9 WiMAX搭載ポータブルナビによる自動車システムでのWiMAXの活用デモ(クリックで拡大)

写真9 WiMAX搭載ポータブルナビによる自動車システムでのWiMAXの活用デモ


写真10 WiMAX内蔵のMIDによる次世代のモバイルコンピューティングのイメージ。左上が工人舎製PM1WX16SA」、右下が「Yukyung Technologies製のViliv S5(韓国)」(クリックで拡大)

写真10 WiMAX内蔵のMIDによる次世代のモバイルコンピューティングのイメージ。左上が工人舎製PM1WX16SA」、右下が「Yukyung Technologies製のViliv S5(韓国)」


〔2〕高速なWiMAXとWi-Fi(無線LAN)対応のコンボモジュール

また、同ブースでは、1台のパソコンでWiMAXとWi-Fi(無線LAN)の両方との通信を可能とするインテルのコンボモジュール「Intel WiMAX/WiFi Link 5150」をより高速に進化させた、「Centrino Advanced-N+WiMAX 6250(Intel WiMAX/WiFi Link 6250)」(写真11)を展示。このWiMAX/WiFi Link 6250は、IEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LAN(2x2 MIMO)とモバイルWiMAX(802.16e-2005準拠。1x2 MIMO)機能を備えており、無線LANは上り/下りとも各最大300Mbps、モバイルWiMAXは下り最大20Mbps/上り最大6Mbpsの伝送速度を実現している。今後、公衆無線LANサービス等を提供しているコーヒーショップや空港などでは、より快適に利用できる環境になると期待されている。


写真11 WiMAX/WiFi Link 6250コンボモジュール(左)とその仕様(右)
(クリックで拡大)
写真11-1 WiMAX/WiFi Link 6250コンボモジュール
写真11-2 WiMAX/WiFi Link 6250コンボモジュールの仕様(右)



〔3〕KDDIは、WiMAX/CDMAの両ネットワークで通信できるDATAシリーズ端末を出展

一方、UQコミュニケーションズへの出資会社であるKDDIは、UQコミュニケーションズがWiMAXサービスを提供するエリアでは「UQ WiMAX」(下り最大40Mbps/上り最大10Mbps)のサービスを、KDDI がCDMA(1xED-DO Rev.A)サービスを提供しているエリアでは「1xEV-DO Rev.A」(下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbps)のサービスを利用できるDATAシリーズ端末4機種(DATA01~DATA04)を出展(写真12、表2)。この両方のネットワークを自動的に切り替えて、データ通信が可能となるDATAシリーズ端末(USBタイプ/ExpressCardタイプ)は、2009年12月以降に発売される。


写真12 KDDIのWiMAX/CDMAの両ネットワークで通信できるDATAシリーズ端末4機種(表2参照)(クリックで拡大)

写真12 KDDIのWiMAX/CDMAの両ネットワークで通信できるDATAシリーズ端末4機種(表2参照)


表2 WiMAXとCDMAの両ネットワークで通信できるDATA端末4機種の仕様
商品名 DATA01/DATA03 DATA02/DATA04
製造メーカー 株式会社 日立製作所
通信方式 WiMAX/ CDMA (EV-DO Rev.A、EV-DO Rev.0、CDMA 1X)
形状 USB1.1/2.0 (ハイスピード対応) ExpressCard/34準拠
サイズ 約28(W)×82(H)×12.2(D)mm 約34(W)×105(H)×5.1(D)mm(最厚部15.3mm)
対応OS Windows XP、Windows Vista、Windows7 、Mac OS X
使用電源 DC5V±5% DC3.3V±5%
発売時期 2009年12月以降


以上、CEATEC JAPAN 2009におけるモバイルブロードバンドの新しい展開を中心に見てきた。来る2010年は、NTTドコモからLTEサービスの提供開始が予定され、また、UQ WiMAXのサービス提供地域の拡大に加えて、ウィルコムのXGP、イー・モバイルのHSPA+などのサービスも本格化するなど、モバイルブロードバンドの世界は激戦の時代を迎えることになろう。

--(終わり)--


バックナンバー

〔CEATEC JAPAN 2009レポート①〕 IPTV、DLNA、HD-PLCの次世代サービス登場!

〔CEATEC JAPAN 2009レポート②〕 NTTドコモのLTE戦略とUQ WiMAXの新しい展開!

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