スマートメーター通信基盤(AMI)の全体像とスマートグリッドに関する5レイヤモデル
〔1〕スマートメーター通信基盤(AMI)
─編集部:東芝が現在構築しているスマートメーター通信システムについて、簡単に整理していただけますか。
横田:図7は、前出の図4に示したスマートメーター通信基盤(AMI)におけるネットワークの全体像を示したものです。
図7 スマートメーター通信システム:ネットワークの全体像 (2014年4月から東京・小平市ほかに導入開始。現在展開中)
Aルート(FANルート)には、無線マルチホップ方式(IEEE 802.15.4シリーズ)、携帯1:N無線方式(3G/LTE方式)、PLC方式(ITU-T G.9903)の3方式を採用しています。
Bルート(図8参照)には、まず、スマートメーターとHEMS間に家電/住宅設備の国際標準制御プロトコル「ECHONET Lite」を採用し、相互接続性を実現しました。また、Bルートの通信方式として、920MHz帯無線(主方式)を使用する「Wi-SUN IP方式」(IEEE 802.15.4g/4e)と、「PLC」(電力線通信)〔ITU-T G.9903(G3-PLC)〕の2つが採用されています。
図8 Bルート:2つの通信方式とECHONET Lite(標準制御プロトコル)
Cルートには、広域網(WAN)として、有線の光回線や無線の3G/LTE回線などが使用されています。
〔2〕スマートグリッドを実現する5レイヤモデル
横田:「Aルート」「Bルート」「Cルート」の3ルートを整理するためにまとめたものが、図9と表1に示すスマートグリッドに関する5レイヤモデルです。
- 新しいサービスビジネスは、マーケットレイヤ(市場層)とデバイスレイヤ(機器層)で規定されます。
- AMIソリューションは、システム制御層(HES/MDMS)とサイバー層(FAN)、制御層(スマートメーター計量部)の3つの層で規定されます。
図9 スマートグリッドを実現する5レイヤモデル
表1 スマートグリッドサービス/ソリューション
これらが図6に示した「Aルート」「Bルート」「Cルート」と対応して、新しいスマートグリッドによるサービスビジネスを創出していくのです。(後編に続く)