災害・有時におけるAP活用のケース
災害・有事の際に、APは次のように活用される。
- APのAC電源が遮断した場合に備え、AP内蔵バッテリーは災害時のピーク状態を想定して3日間のフルトラフィックに対応できる容量が望ましい。
- オペレーションの起点となる役所、公共施設などから、APに対して災害・有事の起動をかける。起動方法は複数想起されるが、WoW (遠隔からの電源投入機能)を活用して、起点から“つながる”APに対して順次APを立ち上げることが、現時点では現実的と思われる。
また、WoWのパケットにはプライオリティ(優先順位)を高く設定し、各APをメッシュ目的で使用できる“モード切替機能”の権限ももたせる。
- WoWによって起動されたAPは、順次、マルチホップルーティング〔バケツリレー方式で情報(パケット)を順次伝送していく方法〕され、速やかに倒壊した建物の中から、APを探し出して接続を行うことができる。
- APにGPSなどを実装しておけば、自律的にAPの存在位置を確定することによって、このAPがどこに位置するかを把握することができ、そのAPから上がってくる情報に対してエリアのモニタリングが可能になる。ローカルマップなどをキャッシュ(APに蓄積)しておくことで、被災者の避難誘導に役立てることもできる。
- APが孤立してしまい、メッシュを形成できない状況下では、4で生成されGPSマップ情報などを放送型(一斉通知)やオンデマンド型(要求に応じて)で被災者に提供する。
- 孤立したAPは、メッセージの蓄積、転送機能(SnF :ストアー&フォワード、APでいったん蓄積し、その後つながった時点で目的地にパケットを転送する機能)をもち、被災者がメッセージを残せる可能性を確保する。孤立した状況から回復しメッシュルーティングを確立時には、蓄積していたメッセージをフォワード(転送)することで、生存者や孤立した被災者への救助を支援する。
- スマートフォンなどの端末にWoWによる起動コマンドを実装しておけば、被災者側からも孤立したAPを起動させながら、前述した5~6の機能により、他のネットワークまでメッシュネットワークを構築し、孤立から解放させることも可能とする。
- 避難所などでは、マルチキャスト、ブロードキャストをIPマルチキャストとブロードバンドエージェントを使い、情報サービスを展開する。適切な情報を多くの被災者に対して提供する。
図2:既存技術の組み合わせで実現するWi-Fiメッシュ構成(ConfigurableWi-FiMesh)
図2の通り、(B)災害・有事発生の場合ブロードバンド機能もAC電源も喪失。(C)WoW (遠隔からの電源投入機能)によってつながるAPを順次接続し、「メッシュネットワークを構成」する。