「SA-W1」と「SACM」が登場した背景
IIJでは、SEIL(ザイル)注3というルータを自社開発し、現在も提供している〔1998年に初めてダイヤルアップ型ルータを発表。現在までの出荷利用台数は68,000台(累計:2014年12月末実績)〕。その後、SMF(SEIL Management Framework)という自動接続、完全管理のトータルなマネージメントシステムを開発した。
このSMFと、SMFに対応したSEIL(企業向け高機能ルータ)によって、初期設定や設定変更、監視・管理、運用保守のすべてを効率化する「IIJ SMF sxサービス」注4を提供している。これによって、つなぐだけで複雑な設定を自動的に取得し、機器を動作させる「オートコンフィグレーション」や、クラウド上のサーバ側ですべての機器の設定や監視、管理を行うことが可能となり、高いセキュリティを担保することが可能となった。
今回発表されたプラットフォームには、これらの仕組みをベースにして、SEILシリーズの後継機である「SA-W1」(表2)と、管理システムであるSMFの仕組みを引き継いだSACM注5が、機器の自動接続、一元管理サービスを行う仕組みとして活用されている。
スマートメーターと企業や家庭のEMSを結ぶBルートに関しては、国内標準規格の「ECHONET Lite」注6規格を採用しているが、同社は、電力検針データを取得するために、SA-W1にECHONET Liteプロトコルを実装し、同時に、スマートメーターとHEMS間の無線通信方式であるWi-SUN注7に対応したUSBモジュール(テセラ・テクノロジー株式会社製)を、同製品に挿入して通信させることで、2015年1月にSMA認証注8を取得した(写真1)。
▼ 注4
http://www.iij.ad.jp/biz/smf-sx/
▼ 注5
SMF(SEIL Management Framework、SEILマネージメントフレームワーク)は、IIJが自ら顧客にサービスを提供しているシステムであるのに対して、SACMは同サービスを提供するOEMモデル。
SACMはService Adaptor Control Managerの略。IIJが独自開発したネットワークマネージメント「SMFv2」(SMFバージョン2)の自動接続、完全管理の仕組みをOEM提供するためのマネージメントサービス基盤。SMFv2はSA-W1や他社のネットワーク機器の、初期設定から設定変更、運用管理までを一元的に管理できる。
▼ 注6
ECHONET Lite:スマートメーターや電気機器(家電機器や太陽光パネルなど)、あるいはシステム間で、電力使用量や機器制御データをやり取りするための国内の標準規格。
▼ 注7
Wi-SUN:Wireless Smart Utility Networks。IEEE 802.15.4gをベースに策定されたスマートメーター用の無線通信システムの国際標準規格。メーターや電気機器(家電機器や太陽光パネルなど)、あるいはシステム間で、電力使用量や機器制御データをやり取りするための国内の標準規格。
▼ 注8
SMA認証:Smartmeter Adaptation認証。エコーネットコンソーシアムが策定したスマートメーターとHEMSコントローラ間のアプリケーション通信のインタフェース仕様書に基づいて実施される、第三者機関での実機試験による仕様適合性認証。認証された機器は、スマートメーターBルートに接続して情報収集を行える機器として認められる。