[新動向]

IIJがオープンなスマートメーター活用プラットフォームを開発

— 電力小売自由化市場へ向けた事業へ参入 —
2015/05/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

オープンかつワンストップのサービス

 今回IIJが開発したプラットフォームの最大のポイントは、次の2つである。

  1. どのような事業者でも使うことができるオープンなプラットフォーム
  2. 各家庭のデータを確実に(セキュアに)蓄積・管理できる自社開発のトータルなサービス

 スマートメーター、HEMSなどのECHONET Liteプロトコルは、インターネットプロトコル(IP)を下位プロトコルで使用する。このような面から見てもISPとして20年以上も培われたノウハウをもつIIJが電力事業に参入するのは、必然であろう。

 同社は、今後のロードマップとして表3の内容を発表している。

表3 今後のロードマップ

表3 今後のロードマップ

〔出所 IIJ提供資料より〕

 2015年6月から開始される、同社が開発したプラットフォームを使った実証実験環境では、SA-W1、SACMとPMSが無償提供される予定だ(表4)。これまでの電力事業に関連するさまざまな実証実験は採択された企業しか参加できず、どちらかというとクローズドな中での実証であった。

表4 実証実験用トライアル環境の概要

表4 実証実験用トライアル環境の概要

〔出所 IIJ提供資料より〕

 同プラットフォームは、スマートメーターに対応したM2M/IoTプラットフォームとしても日本初のものといえ、電力に限らず、ガスや水道、その他のユーティリティ分野においても応用が可能である。オープンな実証実験環境で参加企業各社がどのような新しいサービスを生み出していくのか、日本初となるオープンプラットフォーム上で、新市場が活性化していくことに期待したい。

◎取材協力

石田 潔(いしだ きよし)

石田 潔(いしだ きよし)

株式会社インターネットイニシアティブ
常務執行役員 プロダクト本部長

1985年4月、セイコーシステム株式会社(現、セイコーソリューションズ株式会社)入社。業務アプリケーションの開発を経てシステム端末、ネットワーク機器の開発に従事。
1996年3月、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)入社。入社以来、IIJ開発のルータ「SEIL」シリーズや、独自のネットワーク・マネージメント・システム「SMF」の開発を主導。SMFの国内特許やSMF-LAN、SMFv2の日米での特許取得に貢献する。現在は、SEIL事業とIIJ全体のソフトウェア開発業務を統括。

慶野 文敏(けいの ふみとし)

慶野 文敏(けいの ふみとし)

株式会社インターネットイニシアティブ
プロダクト本部 基盤プロダクト開発部 応用開発課 シニアコンサルタント

自社プロダクトを応用したエネルギー関連プラットフォームの企画・ソフト開発に従事。
旧職では電力系メーカーにて配電自動化システム、一括受電用検針システム、エネルギーマネージメントシステム、デマンドレスポンスシステムなどのシステム開発を担当。元エコーネットコンソーシアム技術委員会 スマートEMS検討WG委員。

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