▲今後の事業展開を語る梅村 周市 氏 シュナイダーエレクトリック(株) エナジーソリューション事業開発室 ディレクター
〔1〕スマートシティ分野で積極的なコンサル
シュナイダーは、1962年に日本での事業を開始し、国内ビジネスを展開しているが、活発化するスマートグリッドへの取り組みや電力の自由化に対応して、最近では、ビルディング事業(2012年)、ソーラー事業(2013年)、DR(デマンドレスポンス。電力の需給管理)事業(2014年)を次々に開始している。
さらに、ビルや工場、データセンター、電力インフラにおける、エネルギーの効率的利用や生産性向上を目指して、リソースアドバイザーとしてエネルギー分野のコンサルテーションも行っている。
スマートシティ分野では、
- スマートエネルギー(スマートグリッド等)、
- スマートモビリティ(電気自動車等)、
- スマートウォーター(配水・損失水管理等)、
- スマートパブリックサービス(デジタル公共サービス等)、
- スマートビルディング・スマートフォーム(ビルの省エネ等)
についてのソリューションを提供している。
〔2〕世界の導入実績を生かした事業展開
同社は、世界200都市以上のスマートシティ導入実績に加え、DRのリーダー企業であるエナジープール(Energy Pool)注2を2010年に傘下に収めるなど、意欲的にビジネスを推進している。
2014年6月には、国際標準仕様プロトコルに準拠したNOC(Network Opera-tion Center)を都内にオープンしている。このNOCを中心にして、双日、東京電力、エナジープール(委託先)、シュナイダーの4者は、「インセンティブ型ディマンドリスポンス実証」を行い注3、2015年3月まで産業用DR(iDR:industrial DR)の実証事業を実施し、電力会社からのDRの要請に対して17回の実証をすべてクリアした。
〔3〕エネルギーインフラ整備の競争時代へ
シュナイダーは日本でのDR事業について、リアルタイム市場設立と連動する形で具体的なビジネスを開始する予定という(韓国ではすでにビジネスを開始)。
さらに海外での「スマートシティ」「スマートグリッド」などのソリューションの成功例を生かして、日本でも同分野のビジネスを広く展開していく。米国ボストン市では、「住民の他市への移住」「高額所得者の流出」を避けたり、「多くの観光客の獲得」を目指して、インフラ整備に積極的に取り組んでいるが、同社はここでリソースアドバイザーを使ってソリューション提供やCO2削減などを行っている。
スマートシティによる自治体のエネルギーインフラ整備は、競争時代に突入している。同様な自治体の動きは日本でも求められており、同社でもこの分野に積極的にビジネス攻勢をかけ始めている。
▼ 注1
250億ユーロ(2014年)。1ユーロ130円換算で3兆2500億円。
▼ 注2
フランスにおいてはDR市場の75%を獲得している。
▼ 注3
経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業」による「インセンティブ型ディマンドリスポンス実証事業」、http://www.meti.go.jp/press/2013/11/20131122001/20131122001.html。
インセンティブ型デマンドレスポンス(ネガワット取引)とは、電力会社がインセンティブ(報奨金)を支払うことで、事業者等に電力需要の抑制を促す仕組み。