「Industry 4.1J」実証実験プロジェクトのイメージ
今回のIndustry 4.1Jの実証実験では、Industrie 4.0で行われているような、データのリアルタイム解析や制御システムのデータ収集なども行いながら、日本の複雑なシステムに対応した抜本的なセキュリティ対策が求められるようなネットワークもきちんと受け入れられるように、製造現場をプライベートクラウドでつなぐIndustry 4.1Jの実証実験を行う。さらに、プライベートクラウドで、生産設備の稼働状況をリアルタイムに監視し、効率化・省エネを実現する。
具体的には、図8に示すような内容が予定されている。
図8 製造現場をクラウドでつなぐIndustry 4.1Jの実証実験のイメージ
〔出所 VEC/NTTコミュニケ―ションズの2015年3月9日プレスリリース、http://www.ntt.com/release/monthNEWS/detail/20150309.html〕
①各製造現場から制御システムデータまでのデータを、VPNネットワーク(Arcstar Universal One注13)経由で収集する。
②収集したデータをプライベートクラウド(Bizホスティング Enterprise Cloud)にログデータ(記録データ)として蓄積する。
③②の蓄積データ(ビッグデータ)をリアルタイムに解析する。
④解析によって得られた、インシデント検知(制御システム関するセキュリティ攻撃の脅威の検出)や、その原因の解析結果/復旧方法、セキュリティの改善提案などを行い、現場にフィードバックしてサポートする。
実証実験プロジェクトシステムの基本構成
表6 Industry 4.1Jの実証実験プロジェクトへの参加企業16社(50音順)
〔出所 各種資料をもとに編集部作成〕
これまで、VECにおける実証実験プロジェクトの概略的なイメージを紹介したが、次に、具体的な実証内容を紹介する。
VECの実証実験プロジェクトは、2016年3月までを目標に、製造現場とクラウド間の通信を、悪質なサイバー攻撃から守り、製造現場とクラウドをセキュア(安全)に接続するため、
(1)セキュリティ品質に優れた通信プロトコル「OPC UA」の適用
(2)リアルタイムかつ、大容量・高速な通信の実現
(3)クラウド上での監視システムの正常な稼働
(4)現場の施設・機械への監視システムの適用
などの項目を検討・検証していく。このプロジェクトへの参加企業は、表6に示す16社である。
また図9は、アプリケーションソフトウェアと、プライベートクラウド、IP-VPN、ゲートウェイ、工場の生産現場から構成される「Industry 4.1Jの実証実験システム」の基本構成である。この実験における検証範囲は、図9の赤線の枠の中である。同プロジェクトは、
■第1段階:通信接続・個別性能実験および相互接続性能実験(2015年4月〜2016年3月)
■第2段階:普及啓発(デモ紹介・業界紙への投稿)(2015年6月〜2016年3月)
■第3段階:ユーザー個別実証実験⇒実用へ、事業化推進活動(2016年度:2017年3月末)
など段階的にスケジュールが予定されているが、この間、適宜、中間報告や展示会発表などが予定されている。
図9 Industry 4.1Jの実証実験システムの基本構成と検証範囲
〔出所 VEC、NTTコミュニケーションズ「製造現場とクラウドをセキュアにつなぐIndustry4.1J実証実験、中間報告」、2015年6月〕
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後編では、Industry 4.1Jの実証実験システムの具体的な構成から、実証実験結果、想定されるセキュリティの脅威について解説する。
(後編につづく)
▼ 注13
http://www.ntt.com/vpn/data/basicknowledge.html?link_id=univ_048