2015年8月19日、鹿島建設株式会社（以下：鹿島、東京都港区、代表取締役社長：押味至一）は、今後建設の増加が予想される洋上風力発電用の海上作業構台「Kプラットフォーム コンボ」を開発し、さらに、これを利用した洋上風車組立工法も併せて開発したことを発表した。
「Kプラットフォーム コンボ」は、日本国内の洋上ウインドファーム計画地として想定される、港湾区域内での建設条件に合わせた作業構台である。基礎の構築から風車の組立、メンテナンス、最終的な撤去作業までを、用途によりアタッチメントを取り換えることで対応できる。これまで欧州で洋上風力建設に用いられていた大型SEP※1に対し安価に建造できることも大きな特長となる。
図 「Kプラットフォーム コンボ」による風車組立イメージ
◆「Kプラットフォーム コンボ」の概要と特長
国内の洋上風力サイトは、作業基地となる岸壁から設置場所までの移動距離が数km以内と短いこと、設置する風車が10～20基程度と少ないこと、設置場所の水深が比較的浅いこと、波浪条件が比較的穏やかな期間が多いことなどの特徴が挙げられる。そこで鹿島は、大型SEPのようにエンジンなどの自航装置を搭載せず、作業構台だけのシンプルな「Kプラットフォーム コンボ」の開発に至った。
「Kプラットフォーム コンボ」はクレーンを搭載した仮設の作業構台で、作業構台本体は、1～2基の風車の組み立てに必要な最小限のコンパクトな設備となっており、水上移動時にはフロータに作業構台を載せて、別の船で曳航する。これにより、大型SEPに比べて建造費用を大幅に抑えることができる。また「Kプラットフォーム コンボ」は着床式の風車建設を対象としており、モノパイルやジャケット、重力式など、さまざまな形式の着床式基礎に対応可能。施工は風車1～2基ずつとなるが、移動距離が短く、波浪条件も比較的穏やかである場合では、大型SEPと同等の施工速度が確保できることを確認している。
同技術に関する一連の特許は既に出願となっている。
「Kプラットフォーム コンボ」は風車の組立工事だけでなく、基礎施工にも適用できるため、今後は基礎の施工と風車組立を同じ作業構台を用いて施工する効率的な工法を確立していく方針とする。
また、建設後も、アタッチメントを取り換えることで、風車のメンテナンスや最終段階での撤去作業にも適用することが可能である。
※1 SEP：Self Elevating Platform＝自己昇降式作業台船
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