[新動向]

「電気×AI」の家電分離技術で新IoTプラットフォーム事業を開始

― エナジーゲートウェイが新型電力センサーでサービスを提供 ―
2018/07/01
(日)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

東京電力パワーグリッド株式会社は、インフォメティス株式会社と共同で、2018年2月、株式会社エナジーゲートウェイを設立した。
同社は、「機器分離技術」(ディスアグリゲーション技術、後述)という、AIを使用した最新のキーテクノロジーを採用し、VPP時代に対応した「IoTプラットフォーム事業」を開始した。
ここでは、2018年6月13日に公開されたエナジーゲートウェイの新型「電力センサー」を見ていくとともに、同社のBtoBtoCのビジネスモデルと事業戦略を紹介する(注1)。

新会社「エナジーゲートウェイ」の位置づけと役割

最初に、3社の関係を整理しておこう。

図1は、エナジーゲートウェイ(表1)と東京電力パワーグリッド(PG)、インフォメティスの3社の関係を示したものである。

図1 新IoTプラットフォームサービスを提供するエナジーゲートウェイ

図1 新IoTプラットフォームサービスを提供するエナジーゲートウェイ

出所 エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

表1 株式会社エナジーゲートウェイのプロフィール(敬称略)

表1 株式会社エナジーゲートウェイのプロフィール(敬称略)

出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」(2018年6月13日)をもとに編集部で作成

図1からわかるように、エナジーゲートウェイは、東京電力PGの安心・安全な電気の運用技術と、インフォメティスがもつ最先端のAIによる分析技術を掛け合わせた「電気×AI技術」によって、新IoTプラットフォームサービスを提供し、新ビジネスを展開していく新会社として設立されたのである。

次に、同社が目指すビジネスについて具体的に紹介していく。

機器分離技術を採用した「電力センサー」

写真1は、日常的な家庭で利用されるヘアドライヤーや電子レンジであり、これらの家電機器は分電盤(写真2)に接続されている。分電盤の中には、「家電分離技術」(ディスアグリゲーション技術)を駆使した「電力センサー」がセットされている。

写真1 デモに使用されたドライヤー(左)と電子レンジ(右)

写真1 デモに使用されたドライヤー(左)と電子レンジ(右)

出所 編集部撮影

写真2 家庭の分電盤に設置された電力センサー(中央下部)とCT(電流センサー)

写真2 家庭の分電盤に設置された電力センサー(中央下部)とCT(電流センサー)

CT:Current Transformer、電流センサー。配電線をクランプ(挟んで)して、非接触式で交流電流を測定する電流センサー。
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

写真3と表2に、電力センサーの外観とその主な仕様を示す。

写真3 電力センサーの外観(左)と電力センサーを右側から見たところ(右)

写真3 電力センサーの外観(左)と電力センサーを右側から見たところ(右)

電力センサー(左)の上部には、CT1~CT4の4チャネルのCT(電流センサー)が接続できる。側面には、右の写真のように、NETWORK(ネットワーク接続状況表示ランプ)、CT(CTの取り付け状況表示ランプ)、RADIO(電波強度表示ランプ)、WIRELESS JOIN(センサーをWi-Fiに接続する際に押すWPSボタン)、RESETボタン等が設置されている。
出所 編集部撮影

表2 電力センサーの主な仕様

表2 電力センサーの主な仕様

※1 インフォメティス株式会社:2013年4月に、ソニーの研究部門から独立。ソニーのAI(人工知能)の技術を引継ぎ、家電機器の電力消費等を個別に推定する家電分離技術(ディスアグリゲーション技術)を開発した。
※2 待機電力:コンセントにつながれた家電製品(テレビや電子レンジ等)を使用していない間でも、時刻表示や起動時間の短縮などのために常に消費されている電力。
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

電力センサーの仕組みと役割

〔1〕クランプCTとセットで使用

電力センサーは、写真2に示すように、電力センサー本体と、電流を測定するクランプCT(配電線を挟んで測定する電流センサー)がセットになって使用される。このクランプCTで家庭の分電盤に接続されている配電線(主幹電源)を挟んで電流を測定し、AIによる家電分離アルゴリズム(分析方法、インフォメティス特許取得済)によって、各家電の電力量を測定できる。

図2は、電力センサーで主幹電源に流れる電流を測定し、家電分離アルゴリズムで電流波形を分析したものである。例えば、図2の右側に示すように、家庭で600Wの電子レンジや200Wの冷蔵庫が使用されていることがわかり、さらに各家電の電力量も測定できる。

図2 電気×AIの基礎技術による家電機器の分離技術

図2 電気×AIの基礎技術による家電機器の分離技術

出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

〔2〕4チャンネル構成の電力センサー

写真3に示すように、電力センサーは、4チャンネル(CH1〜CH4)の電流CTをもっており、CH1(1チャンネル)とCH2(2チャンネル)を使って、家電分離を行うための基礎的な電流のデータを取得する(前出の写真2を参照)。残りのCH3およびCH4は、例えば太陽光発電や蓄電池(バッテリー)などの発電・充電要素の測定に使用できる。

これらを測定することで、(1)家庭で購入した電力量と、(2)家庭内で発電して販売した電力量を差し引きすることなどによって、電力会社とその家庭における電流のやりとりを測定できる仕組みになっている。

太陽光発電や蓄電池などを設置していない家庭については、CH3とCH4を使って、例えば浴室や寝室ごとに分岐している回路に接続することで、各部屋の電流量を個別に測定することも可能だ。

今回公開された電力センサーは、表2に示すエアコン、電子レンジ、洗濯機、テレビなど11種類が測定可能となっている。現時点では、パソコンやゲーム機、携帯電話(スマートフォンのアダプタ)などは、電力センサーの測定対象となっていない。


▼ 注1
記者会見発表者:株式会社エナジーゲートウェイ 社長 林 博之氏、同社経営企画部 マネージャー 柳 達也氏、同社取締役兼インフォティス株式会社 社長 只野 太郎氏(順不同)。

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