[特集]

電力小売全面自由化に向けて「広域機関」が本格稼働へ ― 電力広域的運営推進機関(OCCTO)理事長 金本良嗣氏に聞く!―

特集 パート2 スペシャルインタビュー
2015/10/30
(金)
SmartGridニューズレター編集部

2016年4月から広域機関システムを運用開始へ

─編集部:広域機関では、電力小売全面自由化に向けて「広域機関システム」を開発していると聞いていますが、どのようなシステムでしょうか?

金本:現在、電力システム改革の第2段階である「電力小売全面自由化」に向けて、全国大の電力の需給および系統監視ができる「広域機関システム」を開発しています。これは2016年4月から運用開始される予定のシステムです(表2、写真1参照)。

表2 広域機関システムの主要な機能

表2 広域機関システムの主要な機能

出所 電力広域的運営推進機関の資料を元に編集部で作成

写真1 広域機関システムの指令室の完成イメージ

写真1 広域機関システムの指令室の完成イメージ

出所 電力広域的運営推進機関の資料より

 電気は、電気のまま大量に貯蔵することが難しいため、時々刻々変動する電力の需要量と供給量(発電量)を絶えず一致(これを「同時同量」という)させる必要があります。

 この電力需給のバランスが崩れると、50Hzあるいは60Hzで供給している周波数が乱れてしまい、最悪の場合大規模な停電に発展してしまう可能性もあります。このため、来年(2016年)4月に稼働する広域機関システムは、各エリアの電力の需給バランス(同時同量)を調整する各電力会社の「中央給電指令所」注2の情報をリアルタイムに集約し、各エリア間の連系線の使用状況も管理することができ、これまで以上に迅速で的確な判断・指示が可能になります。


▼ 注2
中央給電指令所:時々刻々と変化する需要家側における電気の使用量を予測しながら、24時間365日、発電所における電気の発電量を調整する指令を絶えず出している各電力会社の指令所。

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...