2016年4月から広域機関システムを運用開始へ
─編集部:広域機関では、電力小売全面自由化に向けて「広域機関システム」を開発していると聞いていますが、どのようなシステムでしょうか?
金本:現在、電力システム改革の第2段階である「電力小売全面自由化」に向けて、全国大の電力の需給および系統監視ができる「広域機関システム」を開発しています。これは2016年4月から運用開始される予定のシステムです(表2、写真1参照)。
電気は、電気のまま大量に貯蔵することが難しいため、時々刻々変動する電力の需要量と供給量(発電量)を絶えず一致(これを「同時同量」という)させる必要があります。
この電力需給のバランスが崩れると、50Hzあるいは60Hzで供給している周波数が乱れてしまい、最悪の場合大規模な停電に発展してしまう可能性もあります。このため、来年(2016年)4月に稼働する広域機関システムは、各エリアの電力の需給バランス(同時同量)を調整する各電力会社の「中央給電指令所」注2の情報をリアルタイムに集約し、各エリア間の連系線の使用状況も管理することができ、これまで以上に迅速で的確な判断・指示が可能になります。
▼ 注2
中央給電指令所:時々刻々と変化する需要家側における電気の使用量を予測しながら、24時間365日、発電所における電気の発電量を調整する指令を絶えず出している各電力会社の指令所。