[新動向]

CO2排出量削減/熱効率60%を実現した東京電力の最新鋭「川崎火力発電所」

― ガスと蒸気による「コンバインドサイクル方式」を採用 ―
2015/12/26
(土)
SmartGridニューズレター編集部

コンバインドサイクル発電

写真1 排熱回収ボイラー

写真1 排熱回収ボイラー

 コンバインドサイクル発電とは、

(1)圧縮した空気中でガス燃料を燃焼させ、その時に発生する燃焼ガスの力でガスタービンを回転させて発電するガスタービン発電方式と、

(2)(1)から排出された燃焼ガスを利用して蒸気を作り、この蒸気の力で蒸気タービンを回転して発電する汽力発電方式の2つを組み合わせた発電方式である(図1)。東京電力では、ガスタービンと蒸気タービン、発電機を1本のシャフト(軸)で結合したコンバインドサイクル発電方式の1セットを「軸」と呼び、表1に示すように1号系列に1~3軸、2号系列に1~3軸の計6軸が計画され、4軸が稼働している。具体的には、ガスタービンを回した後の排ガスの熱は排熱回収ボイラー(写真1)で回収され、その熱で蒸気を作り高圧・中圧蒸気タービンと低圧蒸気タービンを回転させて出力を増加させる(写真2)。そのため、燃料と熱を無駄なく利用できる。

写真2 川崎火力発電所に建設中のMACCⅡ

写真2 川崎火力発電所に建設中のMACCⅡ

川崎火力発電所内に建設中のMACCⅡ。ガスタービンが、建物の外の排熱回収ボイラーとつながっている。2号系列2軸は試運転終了後2016年1月より営業運転を開始予定、3軸は2016年から試運転を行い10月に営業運転開始予定。

図1 コンバインドサイクル発電の仕組み〔東京電力のMACC(ガスタービン入口の燃焼ガス温度1500℃級)の例〕

図1 コンバインドサイクル発電の仕組み〔東京電力のMACC(ガスタービン入口の燃焼ガス温度1500℃級)の例〕

※コンバインドサイクル発電では、ガスタービンを回した後の排ガスの熱で水を蒸気に変え、さらに蒸気タービンを回転させるという2つの発電方法を組み合わせている。
脱硝装置:火力発電所などから排出される燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、無害化する装置のこと。アンモニアと反応させて水と窒素に分解する。
出所 http://www.tepco.co.jp/solution/power_equipment/thermal_power/type-j.html(東京電力)をもとに加筆修正して編集部作成

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