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スマートメーターの30分値

─これだけは押さえておきたいスマートグリッド基礎用語─
2013/03/01
(金)

家庭に設置されたスマートメーターから収集される電力使用量のデータは、30 分ごとに計測され電力会社に送信される、いわゆる「30 分値」というようなことを最近、耳にするようになった。この「30 分値」は、どのような背景で決められ、どのような意味をもつ数値なのだろうか。

家庭に設置されたスマートメーターから収集される電力使用量のデータは、30分ごとに計測され電力会社に送信される、いわゆる「30分値」というようなことを最近、耳にするようになった。

この「30分値」は、どのような背景で決められ、どのような意味をもつ数値なのだろうか。

なぜ「30分値」という考え方が登場したか

経済産業省は、スマートグリッドを構成する重要な構成要素のひとつである「スマートメーター」を家庭などに導入し、これと連携してどのようにエネルギー管理を行うかなどの検討を行うため、2010年5月に「スマートメーター制度検討会」を設置し、2011年2月にその「報告書」を取りまとめて公表した注1

この検討会では、電力会社と家庭との間で双方向通信を行う「スマートメーター」で計測され、提供されるメーター情報としては、基本的に電力使用量、逆潮流値注2、時刻情報などが考えられるとした。同時に、スマートメーターにどの程度の測定間隔のデータを求めるかについても検討された。

その結果、今後、「電力量使用量の測定間隔や拡張性が求められる」としながらも、現時点でスマートメーターが取り扱う情報は、30分程度の測定間隔で提供されることが適当とされたのである。従来、需給バランスに関する「30分同時同量」のような用語が使われていたが、これがスマートメーターの「30分値」と言われるものである。

東京電力のスマートメーターの構成

〔1〕スマートメーターの計量部/通信部とAルート/Bルート

このような「30分値」の根拠を反映させて策定されたのが、図に示す、東京電力のスマートメーターの構成と30分値の関係である。

図 東京電力のスマートメーターの構成と30分値

図  東京電力のスマートメーターの構成と30分値

〔出所 東京電力、「RFCを踏まえたスマートメーター仕様に関する基本的な考え方」、2012年(平成24年)7月12日( http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/procure/rfc/repl/t_pdf/2_concept-j.pdf )をもとに一部加筆〕

図の中央の四角の部分がスマートメーターで、計量部、通信部と、Aルート、Bルートと記載されている。Aルートはスマートメーターと電力会社間のデータ通信経路で、Bルートはスマートメーターと家庭内のHEMSなどとの間のデータ通信経路である。

Aルートの通信プロトコルは原則IPとしているが、この時点(2012年7月)ではまだ決定ではないので赤字で記されている。Bルートも、IPを実装することまでは確定(黒字)しているが、その実装方法は今後の検討課題となっている。Bルートの通信プロトコルがすべて黒字で記載されているのは、2011年度のスマートハウス標準化検討会での決定注3を受けたものとなっているからである。

〔2〕Aルート側の情報

Aルート側では、スマートメーターから検針量(30分値。30分間に家庭で消費した電力量。単位はkWh)などが電力会社のシステムへ送られる(順方向)。逆に、電力会社のシステムからスマートメーターへは、電力の提供を停止するシグナル(信号)や停解(電力の提供停止の解除)シグナル、およびアンペア数などの契約を変更するシグナルが送られてくる注4

〔3〕Bルート側の情報

Bルート側ですでに決定しているのは、順方向(屋内のHEMS側への方向)および逆方向注5の電力量それぞれについて、30分ごとにスマートメーターが計測した値と、電流値、時刻情報である。

将来的には、電力会社のシステムから送られてきたDR情報や太陽光発電抑制信号などをHEMSに送り、HEMSから家電機器や太陽光発電を制御することが視野に入れられている。


▼ 注1
2010年5月から2011年2月まで10回にわたる検討会が行われ「スマートメーター制度検討会報告書」(2011年2月)が取りまとめられた。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004668/report_001_01_00.pdf

▼ 注2
逆潮流値:太陽光発電による余剰電力の買い取り分を示す値。

▼ 注3
「スマートハウス標準化検討会中間取りまとめ(案)」、2012年2月24日
http://www.meti.go.jp/press/2011/02/20120224007/20120224007-2.pdf

▼ 注4
将来的にはDR(デマンドレスポンス)の情報として価格シグナルや電流制限値の変更、さらに、5月の連休など昼間でも電力需要が少ない特異日に、太陽光発電からの余剰電力の逆潮流が系統の安定性を乱すと判断された場合、太陽光発電からの逆潮流を停止させるための抑制信号なども検討対象となっている。

▼ 注5
逆方向:太陽光パネル等で発電した電気のうち、家庭で使えきれず電力会社に売る方向。

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