エレクトロダイバーシティとその課題
このような現象は、もとは電気磁気学に代表されるように1つの「電気技術」であったものが、応用範囲が広いこともあって非常に細分化された。「エレクトロダイバーシティ」(Electro Diversity、電力の多様性)と呼んでも差支えがないくらい、学問の中でも広範なものとなっている。この電力の多様性のなかで、もう一度「電気技術」を再構築する考え方が必要となってきた時代を迎えているということでもある。
「電気技術」には「通信技術」や「電力技術」「エレクトロニクス技術」など、いろいろな分野が密接に絡んでいるが、21世紀となった現在、電力システムに新しくオープンな通信ネットワークそのものがエネルギー供給の1つのツールとして加わり、一体化しようとしている。このようなトータルな認識あるいは捉え方は重要なことである。
したがって、これから電力・エネルギー関係に取り組む人たちにとって、細かい分野のエキスパートになることはもちろん大切であるが、たえず全体を見渡せる能力と知識を身につけ、さまざまな分野の技術との連携をしっかり捉えて、絶えずシステム全体を理解していくことが重要になってきている。
分散処理システム機能をもった伝送装置
〔1〕新しい環境に適した次世代の製品開発
①情報通信システムと電力システム技術の統合、②現場設置を可能としたハードウェア技術に対応するソフトウェア技術の統合、③新しい電力システムのニーズとそれに対応した研究・開発、などを背景とする新しいスマートグリッド時代を迎えて、動向を十分に分析しながら、次世代の製品開発が必要となっている。
一般的に機器メーカーは、「電力(重電)は電力(重電)」「通信は通信」というように、各メーカーの特色を生かした縦割りで個別のニーズを目的とした製品開発が行われている。これからは目的と手段を融合し、市場の動向の一歩先を見つめる必要がある。
〔2〕M2Mの発展動向もとらえる
例えば家庭(HEMS)の場合、電子メーター(スマートメーター)から出てくる電力使用状況のデータを宅内でどのように「見える化」するか、それをどう制御するか(HEMS)。さらにこれを発展させて、ビル(BEMS)や工場(FEMS)、マンション(MEMS)、さらにこれらが地域的に広がりをもって散在するスマートコミュニティ(CEMS)などにどう適用させていくかを、センサーネットワークを活用するM2M(Machine to Machine)の発展動向をもとらえながら、新しいソリューションに向けて研究・開発する必要がある。