英国におけるFlexNet実証実験とSmartReach
図2 SmartReachコンソーシアムのメンバー構成
〔出所 Sensus in the UK - Sensus.comを元に作成 〕
FlexNetの効果は、さまざまな地域で実証されているが、今回の取材ではスコットランドのエネルギー会社であるScottishPower(スコティッシュ・パワー)とともに行った実証実験を紹介していた。この実証実験では、英国のイプスウィッチ(Ipswich)などのいくつかの地域でFlexNetを活用したスマートメーターを導入し、その接続性や遠隔検針の成功率などを検証している。
なお、この実証実験にはScottishPowerやシーメンス(Simense)に加え、スマートリーチ(SmartReach)というコンソーシアム(設立:2010年)が参加した。このコンソーシアムは、センサスのほか、大規模な通信インフラプロジェクトにかかわってきた経験のあるArqiva(アキーヴァ)、通信キャリアのBT(ブリティシュテレコム)、そしてシステム構築などを手がけるDetica(デティカ)の4社から構成されている(図2)。
英国では、2019年までにすべての需要家に対してスマートメーターを導入することが定められている注5が、スマートメーターネットワークでは無線を利用することが決まっている。選択肢のひとつとしてセンサスのソリューションが採用されているが、高品質で安全なスマートメーターネットワークを提供するために作られたコンソーシアムが、このSmartReachである。
今後の日本での戦略
センサスは2011年10月に日本に参入している。他の国ではスマートメーター自体も提供している場合があるが、日本ではスマートグリッド向けの通信インフラのみを提供するとしている。具体的な展開のためには、英国で作られたSmartReachのようにコンソーシアムを結成することを検討しているという。
日本で同社が利用する周波数帯は920MHzを候補として考えているようだが、他の機器などでも利用されているため、ノイズが多くなることを懸念していた。そのためFlexNet専用の周波数を割り当てることが理想だとしながらも、当面、920MHz帯を利用する可能性が高いようである。
今後、東京電力をはじめ、各電力会社がスマートメーターの導入を本格化するにつれ、センサスの日本での展開も、より具体的なものになっていくものと思われる。
▼ 注5
2010年10月12日に発表された“Helping households to cut their energy bills”(「家庭におけるエネルギー消費削減に関する支援法」内で明記された)、https://www.gov.uk/government/policies/helping-households-to-cut-their-energy-bills/supporting-pages/smart-meters参照。