新しい電気事業者の類型:5つの類型へ
「電力自由化」とは、従来、基本的に一般電気事業者10社によって行われていた地域独占事業などの規制を緩和することによって、既存の電力会社以外の新規参入を促進し、企業や個人などの需要家が、電力会社の選択肢を増やすための一連の改革のことである。
日本における電力の自由化(新規参入)は、2000年から大型ビル・大規模工場での自由化を皮切りに2004年、2005年と段階的に行われてきた。その後も、表1に示す3段階を踏んで電力システム改革が推進されており、その結果2016年4月1日からは、一般家庭や商店でも、全国のどの電力会社とも契約して電力を使用することが可能となる「電力小売全面自由化」がスタートした。
これに先立って、関連する電気事業法が改正(改正電気事業法)され、従来の電気事業者の類型注2が見直された。
その結果、従来、一般電気事業(10社)、卸電気事業、特定電気事業、特定規模電気事業(PPS、新電力ともいわれた)の4つの類型に区分されていた電気事業は、現在、表1の第2段階に示すように大きく「A:発電事業」「B:送配電事業」「C:小売電気事業」の3つに大別され、さらに【1】〜【5】に区分けされ、各類型ごとにそれぞれ届出制、許可制、登録制などの規制が課せられている。
表1 日本の電力システム改革:3つの事業(A・B・C)と5つの類型(【1】〜【5】)
OCCTO:Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators, JAPAN、電力広域的運営推進機関。2015年4月1日設立。
(※1)発電事業届出書事業者一覧
(※2)一般送配電事業者:旧一般電気事業者10社(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力のうち東京電力のみ一般送配電事業として先行して「東京電力パワーグリッド」を東京電力ホールディングスの100%子会社として分離独立(2015年)
(※3)登録小売電気事業者および登録特定送配電事業者の一覧
出所 各種資料をもとに編集部で作成
表2に5つの各類型の内容を示す。また図1に、表1に示した日本の電力システムをベースにした、現在の日本の電力供給の仕組みを示す。
表2 電力小売全面自由化(2016年4月)以降の各事業の内容(5つの類型)
出所 http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/をもとに編集部で作成
図1 電力自由化(2016年4月以降)後の電力供給システムの仕組み
出所 http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/pdf/kyokyu_shikumi.pdf
▼ 注1
ライセンス制:従来は地域電力会社(例:関東地域は東京電力)1社による独占供給していたが、2016年4月からの電力自由化によって電力会社は、「発電事業者」「送配電事業者」「小売事業者」の3事業に分類されるようになり、それぞれがライセンス制になった。
▼ 注2
電気という共通の性質をもったものの種別(例:一般電気事業、卸電気事業など)