M2Mにおける国際標準化戦略と業際イノベーション

平田 英成

2013年9月1日 0:00

ICT(情報通信技術)は、世界の国や地域の社会生活とのかかわりの中で、歴史的に大きな転換期/パラダイムシフトの時期を迎えている。その背景には、インターネットと、携帯電話やスマートフォンなどによってICTが日常生活の中に浸透し、社会生活に必要な基盤としてICTが必要不可欠な要素となりつつあるということがある。ここでは、各国の企業がこれからM2M/IoTで何をしていくべきかを考察しているこの立ち上がりの時期に、企業が取り組むべき国際標準化戦略と新しい業際イノベーションの開拓について考察していく。

M2Mの国際標準化の促進とビッグデータ、IoTの盛り上がり

先行する国や地域では、いわゆるユビキタス環境が現実のものになりつつあり、さらに数多くのマシン(M:Machine)と人(H:Human)がつながると同時に、多種・多量のデータも集積しつつある。

それを基盤にして、ICTが各国あるいは各地域の消費者の幸せに貢献するために、これから何をしていくべきかについて、世界中の関係者が考えるようになってきており、それが、M2M(Machine to Machine)の国際標準化を促進させ、ビッグデータ、IoT(Inter-net of Things、モノのインターネット)などのキャッチフレーズの盛り上がりにつながっている。

各企業ビジネスのスタートポイントとして、

  1. 「情報の収集・解析システム」
  2. 「情報の活用」
  3. 「消費者からの要望」

などがそれぞれ考えられるが、この3つの要素のサイクルを上手に回す国や企業が持続的な成功を獲得していくことになる。

このような社会的背景を、筆者はよりスマートなコミュニケーション社会への入口(Entrance to the Smarter Communica-tion World)と捉えている。もとより、進歩の速いICT業界で世界トップの業績を挙げ続けるのは至難のワザであるが、各国の企業がこれからM2M/IoTで何をしていくべきかを考察しているこの立ち上がりの時期には、日本のICT業界が近年の落ち込みを挽回するチャンスが存在する。

チャンスを勝ち取るための基礎情報

そこでここでは、チャンスを勝ち取るための基礎情報として、

  1. 国内外ビジネスのツールとなる国際標準化の状況や戦略
  2. 各国が狙っている業際的なイノベーション、ビジネス展望の例
  3. 最後に欧米中韓の背景や思惑と日本が取り組むべき課題

などを、新たに誕生した国際標準化組織「oneM2M」(ワン・エムツーエム)注1の前夜の様子として紹介する。

なお、ここに記述する事柄は、一個人が戦略的な研究開発や国際標準化の現場で各国の関係者との情報交換の中から考えてきた結果であるため、決して多数派でもオールマイティでもない。読者の皆様には、「そのような面もないことはないな」という程度に、日本とアジア発の「グローバルビジネス協調」の参考にしていただければ幸いである。


▼ 注1
oneM2M:one Machine to Machine、M2Mに関する国際標準化組織。

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