各PoEのアーキテクチャ
〔1〕IEEE 802.3afおよびIEEE 802.3at
IEEE 802.3afおよびIEEE 802.3atで定義されているとおり、PoEは、カテゴリー5以上のツィストペアケーブル(4ペア中2ペア)を使用して電力供給する(前出の図2参照)。
PoEによる電力の供給方法には、2つの選択肢(Alternative)がある。
Alternative Aでは、PSE(電力供給側)は、後述するペア1、2、およびペア3、6のみを使用してPSEからPDに電力を供給する。残りのペア4、5、およびペア7、8は電力供給には使用しない(後出の図6と図7を参照)。
Alternative Bでは、PSEは、ペア4、5、およびペア7、8の2ペアのみを使用してPDに電力を供給する。この場合、残りのペア1、2、およびペア3、6の2ペアは電力供給には使用しない(後出の図8と図9を参照)。
このアーキテクチャは、ポートあたり最大30W(IEEE 802.3atの場合)を給電可能となっている。
〔2〕UPOEアーキテクチャ
図4 UPOEのアーキテクチャ(4ペアすべてを使用)
〔出所 http://www.cisco.com/web/JP/product/hs/switches/cat4500/prodlit/white_paper_c11-670993.html〕
一方UPOEは、PoE(IEEE 802.3afおよびIEEE 802.3at)と同じケーブル配線標準を使用する。この場合は、2ペアではなく、標準のイーサネットケーブル配線(カテゴリー5以上)にある4ペアすべてを使用し、最大60Wの給電能力を実現する。
この4ペアシステムのアーキテクチャを採用したUPOEは、シンプルであり、2ペアのIEEE 802.3atの設計を拡大したものとなっている。2ペアシステムはPSEコントローラを1台使用して、2ペアのケーブルを通してPDに電力を供給する。新しい4ペアシステムでは、PSEコントローラを2台使用して、4ペアすべてに電力を供給するため、供給電力は、最大60W(=30W×2)となる。
図4に、UPOEのアーキテクチャを示す。また、これまで解説した内容をまとめると、表2のようになる。
表2 各PoEの比較(IEEE 802.3af標準、IEEE 802.3at標準、シスコ拡張規格UPOE)