[特別レポート]

けいはんなデータセンターにおける 新世代のエネルギー制御システム

― エネルギー管理制御(DEMS)でデータセンター全体の消費電力を最適化 ―
2014/02/01
(土)

5つの技術要素

同センターにおける実際の技術要素は、図6のように整理できる。

図6 けいはんなデータセンターを構成する技術要素図6 けいはんなデータセンターを構成する技術要素

(1)ICTシステム

富士通が現システムで想定している50℃の高温に安定的に耐えられるファンレスサーバを提供。サーバの消費電力の半分はファンが消費しているため、CPUのパワーというよりはファンのパワーの方が問題視されている。そのためファンレスサーバを導入し、これによって1台あたり70W程度の削減を可能とした。

(2)空調システム

風量を多くして、かつ風速を押さえるのか、というのが課題。同システムでは「床下壁吹き出し方式」から「壁かけ吹き出し方式」を採用(図7参照)。

図7 個別技術(2):省エネ型空調機器とその制御技術図7 個別技術(2):省エネ型空調機器とその制御技術

(3)低損失電源システム

HVDC-12V(直流電源装置)の導入。連係制御でダイナミック制御をし、ロス(損失)を減らす(図8)。

図8 個別技術(3):電源のアクティブ制御図8 個別技術(3):電源のアクティブ制御

(4)排熱の利活用

本システムの大きなポイントとなる技術(前述)。ICT機器からの発熱を3つのアイル(通路)で段階的に上げて排熱利用していくスーパーホットアイルを新たに配置。湿度調整に利活用することを選択。

(5)統合マネージメント

コンピュータによってリアルタイムで前述の(1)〜(4)までを統合管理してデータセンター全体の最適化をし、総電力の最小化を目指す(図9)。

図9 個別技術(5):コンピュータによる総電力最小化図9 個別技術(5):コンピュータによる総電力最小化

また、各技術のプレイヤーは次の通り。

  • NTTデータ先端技術:(3)低損失電源システムの開発
  • 高砂熱学工業:(2)空調システムと(4)廃熱利用技術の開発
  • 大阪大学:(5)統合マネージメント技術:ICT機器の最適タスク配置技術の開発
  • 国際電気通信基礎技術研究所(ATR):(1)ICTシステムの開発、および(5)統合マネージメント技術:統合最適化技術の開発
  • 富士通(1’)耐高温サーバ技術
  • Schneider Electric(5’)DCIMシステム技術

消費電力の削減率の目標値

けいはんなデータセンターでは、先に上げたような各専門集団による連携によって、最終的には70%の消費電力の削減を目標としている。そのマイルストーンを図10に示す。

図10 本実証事業における消費電力の削減率の最終目標値図10 本実証事業における消費電力の削減率の最終目標値

まず2014年3月末で30%の削減を目指しているが、これに関してはHDVCと壁掛け吹き出し方式の空調システムなどの利用により、ほぼ実現可能である。

また排熱利活用については、今年(2014年)度は原理を確認し、来年(2015年)度にシステム化し、最終年(2016年)度に統合して運用していく。

最終年度(2016年度)には、データセンター全体の消費電力の最適化を実現して、目標値の70%削減を達成するとしている。

◎取材協力

松岡 茂登(まつおか もりと)

松岡 茂登(まつおか もりと)
大阪大学サイバーメディアセンター 教授
1985年4月NTT研究所入所
2009年NTT環境エネルギー研究所 所長
2012年NTT情報流通総合研究所 主席研究員
2013年4月大阪大学サイバーメディアセンター 教授に就任、現在に至る
エネルギーマネージメント技術、データセンターの省エネルギー技術、および高速ネットワークの省エネルギー技術など、広くグリーンICT技術の研究に従事。

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