受信機におけるパケット受信感度試験の例
ここでは、具体例として、図8に示す受信機のパケット受信感度(Receiver sensiti-vity)試験の例を挙げて説明する。
図8 受信機の受信感度試験の例
〔出所 アジレント・テクノロジー、「Agilent Measurement Forum 2013 最新動向を考慮したスマートメーターの測定技術」より〕
図8に示すように、左側のパソコン(PC)で試験用パケット生成ソフトウェアを用いて標準信号(FSKで変調されたパケット信号)を作成する。このパケット信号を、図8中央の信号発生器を通して、相手に送信する。受信側にあるデバイス(実際には図8の右上にあるスマートフォンあるいはスマートメーター)は、パケットを何個受信できたかという情報を、図8の右側の制御用PCに送信する。
制御用PCは受信パケット数をカウントして、例えば送信側で100個のパケットを送出し、95個しか受信側で受信できなかったら、エラーレート(誤り率)は5%(=5÷100)となる。100個すべてを受信できたらエラーレートはゼロとなる。このように、エラーレートは送信信号の強度などによって変化するので、適切な信号強度が設定されることになる。
電波法に基づく試験方法と技術基準
Wi-SUNを用いるスマートメーターは、920MHz帯を使用する無線機器のため電波法の規制を受ける。このため、技術基準適合証明試験の項目には、図9に示すような試験項目がある。その各試験項目の内容は、表4の通りである。
図9 技術基準適合証明の試験項目
〔出所 アジレント・テクノロジー、「Agilent Measurement Forum 2013 最新動向を考慮したスマートメーターの測定技術」より〕
表4 技術基準適合証明の試験項目の内容
自動測定ソフトウェアおよびシステム
実際に、スマートメーターなどのビジネスを行う場合は、国が指定した認定機関で、前述した技術基準適合証明、いわゆる「技適」が必要となる。しかし、正式な試験を受ける前に、自分で事前試験が行えれば、本試験の前に適切な調整が行え、さらに1回でパスする可能性も高くなり、試験費用もセーブできるようになる。
図10は、電波法などに基づいて無線機器の技術基準適合証明などを行っている、総務大臣から登録証明機関の登録を受けた機関「TELEC」(一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター)などで正式な試験を受ける前に、自前で行える簡易自動測定ソフトウェアの試験例である。
図10 技術基準適合証明試験を受ける前に:簡易自動測定ソフトウェア
〔出所 アジレント・テクノロジー、「Agilent Measurement Forum 2013 最新動向を考慮したスマートメーターの測定技術」より〕
これはマイクロソフトExcelのマクロで作成したもので、これによってアジレント社のスペクトラム・アナライザを制御し、技術基準適合証明試験で求められる測定のうち、同アナライザでほぼ同等なものが測定できるようになっている。
実際の試験機関などでお金を払って試験を受ける前に、これで試験すると、合格するかどうか、大体判断できる予備検査機となっている。これによって検査費用などを節約できることになる。
また、同社では「TELEC」(一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター)に納入実績のある、技術基準適合証明試験用測定システムも扱っている。
※2014年8月1日、アジレント・テクノロジーの電子計測事業は、キーサイト・テクノロジーとして新しくスタートしている。
【インプレスSmartGridニューズレター 2014年4月号掲載記事】