新電力や小売ビジネスの将来像と課題
実施したいビジネスにもよるが、新規ビジネスに参入したい企業はさまざまな課題点をもち、特に、
- どのように小売事業に参入するのか、検討ステップがわからない。
- どんどん新規参入が増えてきて、いいとこどりをされている。
- 付加価値のある料金メニューの考案をどうすべきかがわからない。
の3つの課題をIBMが相談を受けるケースが増えている。新電力小売参入を検討している企業は、競合企業との差別化、既存ビジネスと電力ビジネスのシナジーを前提にした電力料金メニューの開発や新しいビジネスモデルの検討を開始している。
〔1〕電力小売の料金メニュー
既存の電力会社の料金体系は、基本料金と従量料金をはじめとしたさまざまな料金メニューが存在する。今後、小売の全面自由化が実際された場合には、例えば100%従量料金や固定料金、あるいはダイナミック・プライシングやネガワットなど、料金体系で差別化を図ろうとする企業が登場してくると考えられる。
その中で、例えば、
- 家族割、地域割などの新しい割引料金
- 家賃、ガス料金、水道料金、電話料金などの既存商品との込みの料金
- ポイントをインセンティブにした料金
など、さまざまな差別化を図る戦略が必要となってくる。
〔2〕新しい商品開拓とビジネスモデル
いかにして電気を安く買ってきて顧客に供給し利益を得るか、というビジネスモデルから、電力+既存の商品と組み合わせたビジネスモデルを検討している企業の中には、例えば100円で電力を仕入れてきて95円で販売するようなビジネスモデルを検討している企業も出てきている。
このような商品が登場してくると、今までのビジネスモデルが大きく変わってしまい、発電所をもたないほうが有利になりかねない状況も出てくることも想定される。具体的には、例えば新規顧客開拓に1家庭あたり年間3万円コストがかかっていて、離反防止に1家庭あたり5万円コストがかかっている業界があったとする。そこで電力と既存の商品を合わせたビジネスを実施した場合、電気料金を仕入れ値段よりも安価に設定しても、それにより新規顧客を獲得し離反防止も実現できれば、その分のコスト分が浮いてしまうので、相殺すると利益が出るという考えなのである。
また、対象とする需要家のいいとこどりという観点では、収納・督促業務が発生しない(もしくは、発生する可能性の低い)顧客とだけ電力の契約をするビジネスを検討している企業も出てきている。