[特集]

仙台マイクログリッドが示す電力自由化時代のエコシステム

─ サイバーセキュリティに対応したインフラ構築は喫緊の課題 ─
2014/06/01
(日)
SmartGridニューズレター編集部

3.直流給電の有用性

江崎:もともと、NTTグループとしては直流給電をされていましたよね。NTTファシリティーズでは、直流給電についてはどのようにお考えですか。

今泉:NTTグループでは、直流給電については10年以上前から行っています。ビジネスとしては難しいと言われていましたが、世界的に議論や実証が行われたうえで、最近、また直流給電が注目され、徐々に増えてきています。直流を技術的に行いたいとか、製品を導入したいというわけではなくて、直流を使うとエネルギー効率が良くなるというところが直流の強みです。あとは産業界がどのような方法論で進めて行くかということになると思います。 NTTグループのHVDC(High Voltage Direct Current、DC380Vの高電圧直流電源)は、この仙台マイクログリッドでの実証実験が礎となり、今日の導入に至る大きな役割を果たしました。また、この活動については、海外からも注目を浴びており、業界においては“SENDAI microgrid”という言葉が固有名詞化し定着しています。

江崎:直流給電にすると、機器のコンポーネントが減るので、事故や故障が減り、システムの信頼性が向上します。仙台マイクログリッドでは、太陽光発電システムを直流でマイクログリッドに取り入れていましたね。

今泉:はい。交流系統とつながっていないので、既存の系統電力の停電による影響を受ける心配もありません。また、太陽光発電を東北電力からの交流系統と連携させて、ミックスさせる運用も行っています。

江崎:そういったことも、実際に経験されたうえで仙台マイクログリッドを継続して稼働させていることは、非常に心強いことです。NTTファシリティーズが、今までは特に社会インフラの通信の部分に責任をもっていたのが、もう少し幅を広げて、電力自由化に伴うところでも社会インフラの設計とオペレーションに積極的に責任をもっていただけると心強いですね。

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