IICが連携している各種標準組織・アライアンス
これまで述べてきたように、IICの設立の目的は、
- 物理的(フィジカル)な世界とデジタル(サイバー)な世界を統合(CPS:Cyber Physical System)し推進することによって、インダストリアル・インターネット・ソリューションが広汎に採用されるよう推進すること。
- IICは標準を策定する組織ではなく、既存の標準を評価しインダストリアル・インターネット実現のために体系化し、グローバル標準の開発プロセスに影響力を与えること。
などを方針としている。
このため、IISのテストベッドを構築するうえで、どのような標準規格が必要かということを見極めることが重要となる。このため、表4に示すように、国際標準化団体のISO/IEC JTC1/WG 10(IoTの標準化ワーキング・グループ)をはじめ、IEEE、OneM2M、SGIP 2.0、W3Cまでに至る20以上の標準化団体や、コンソーシアム、フォーラムにわたって協力関係を構築しているのもIICの大きな特徴でもある。
表4 IIC が連携(リエゾン)している標準化団体等(2016 年6月時点)
出所 http://www.iiconsortium.org/liaisons.htmをもとに編集部作成(2016年6月現在)
今後の展開:「グローバルスタンダード」への道
〔1〕新時代のビジネスモデルの創造
産業革命、インターネット革命に次ぐインダストリアル・インターネット革命は、世界のあらゆる地域の英知を集合させ、新しい時代におけるビジネスモデルの創造、国際協力の在り方まで変えようとしており、米国の「IIC」と、ドイツの「プラットフォーム Industrie 4.0」の正式な連携は、その大きな歴史的な一歩を歩み出した。
IICで1年ほど前に策定されたリファレンス・アーキテクチャは、現在、第2バージョンが策定中(間もなく発表)である。また、経営戦略(ビジネス・ストラテジー)&ソリューション・ライフサイクルWGからは、1年間の取り組みの成果をまとめたホワイトペーパー(白書)が間もなく発表される予定となっている。
インダストリアル・インターネット革命における「グローバル・スタンダード」の策定は、各地域で孤立した標準ではなく、国際標準に基づいた製造業や医療、スマートシティ、運輸などの新しい展望を拓こうとしている。これは単に新しいビジネスモデルの創出だけでなく、生産効率の向上は、人口が急増する人類にとって必須の課題ともなっている。
〔2〕日本とドイツも連携へ
去る2016年4月28日、日本の経済産業省とドイツ経済エネルギー省との間で、「IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明」への署名が行われ、いよいよ日本も一歩を踏み出し始めた注6。その連携内容を見ると、産業サイバーセキュリティをはじめ、国際標準化についても検討課題となっているが、当面、
- 両国間でのユースケース(先進事例)の共有
- 標準やアーキテクチャ・モデルに関する協力
- ドイツが進めるアーキテクチャ・モデル「RAMI4.0」を利用した国際標準づくりの推進
などの連携が行われる。
今後、この日独の共同声明に基づいて、IoT/インダストリー4.0に関するさまざまな課題の解決に向けて、日独両国間で連携が進展していくことになるが、さらに踏み込んで、日本とIICとの協力関係・連携が構築され、まさに地球規模(グローバル)のスタンダードが策定されていくことが期待されている。(後編に続く)