[新動向]

HEMSデータをどう活用し新サービス市場を創造するか

─経産省がデータ取扱マニュアルを策定へ!─
2014/08/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

アグリゲータ/サービス事業者とプライバシー保護

〔1〕HEMSデータ利活用するサービスへの指針
このような政府の検討(制度見直し)と同期して、経済産業省/スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会では、アグリゲータやサービス事業者が、消費者から取得したHEMSデータを利活用してサービスを提供するにあたって、個人情報やプライバシー保護の観点からどのような点に留意すべきかに関して「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」が策定された(2014年5月28日)。
 
ただし、「HEMSデータ利活用するサービス」が新しい分野であることから、現時点で確固たるマニュアルを整備することは難しい面がある。このため、このマニュアルを暫定版として提示し、大規模HEMS情報基盤整備事業注5の中で、これを実践し、現場の消費者の声を反映することによって、本マニュアルを完成させ、その後の新規参入者にも活用可能なものとしていく計画である。
 
〔2〕需要家・アグリゲータ・サービス事業者の関係
図2に、スマートメーターおよび関連システムの全体像を示すが、図に示すA、B、Cは、それぞれ次のような意味である。
  1. Aルート:スマートメーターと電力会社間のルート
  2. Bルート:スマートメーターと家庭内のHEMS間のルート
  3. Cルート:「電力会社と小売事業者(例:新電力)」間、あるいは「電力会社と民間事業者(第三者。例:アグリゲータ、サービス事業者)」間、さらに「アグリゲータ/サービス事業者と家庭内のHEMS」間も含むルート
 
また、各電力会社のスマートメーター導入計画(2013年度末時点)は、工場などの高圧スマートメーターは約100万台、一般家庭向けの低圧スマートメーターは約7,800万台となっている。高圧(工場等)については、2016年度までに全数スマートメーター化され、低圧(家庭等)については、東京電力管内では2020年度末まで、日本全体では2024年度末までに導入を完了する計画となっている。注6
 
また、低圧スマートメーターから得られる情報の提供開始時期(Aルート、Bルート)は、東京電力が2015年7月から開始するが、その他の電力会社も2017年度中にはすべて開始される予定となっている。注7

▼注5
大規模HEMS 情報基盤整備事業 :1 万世帯程度にHEMSを導入し、これをクラウド管理する情報基盤のシステムを構築するなどの事業(平成26年度予算)
 
▼注6
スマートメーター制度検討会「スマートメーター制度検討会における検討結果と今後の対応」、平成26(2014)年6月23日 資料4、http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system/seido_sekkei_wg/pdf/006_04_00.pdf
 
◆図2 出所
〔第14 回スマートメーター制度検討会、平成26 年3 月17 日 資料3、http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004668/pdf/014_03_00.pdf
 
▼注7
第14回スマートメーター制度検討会「スマートメーターの導入促進に伴う課題と対応(案)」、平成26(2014)年3月17日資料3、http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004668/pdf/014_03_00.pdf
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