[新動向]

HEMSデータをどう活用し新サービス市場を創造するか

─経産省がデータ取扱マニュアルを策定へ!─
2014/08/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

4つのパターンに見る「需要家とアグリゲータ、サービス事業者」の関係

次に、図3に示した3つのユースケース
(①~③)と、図4に示した3つのHEMSデータ領域パターン(領域Ⅰ~領域Ⅲ)を組み合わせた、パターン①~パターン④の例を紹介しよう。
 
〔1〕パターン①:データ領域Ⅰを使用する場合
図5は、パターン①データ領域Ⅰを使用する場合で、これとユースケース①とユースケース②を組み合わせたものである。
 
 
  1. 個人情報保護法上の対応:このパターンでは、表1に示したように、領域Ⅰのデータは個人情報を含まないため、アグリゲータは、個人情報保護法上求められる利用目的の明示や第三者提供に関する本人の同意取得は不要である。
  2. 個人情報保護法を越えた場合の対応:また個人情報保護法を越えた場合には、消費者の安心感や納得感を得て、信頼関係の下でサービスを提供していくことになる。このため、利用目的やデータの提供について本人に通知すべき、あるいは公表していくべきと考えられる。
その通知・公表の方法としては、HP(ホームページ)上で掲載する、メールでの配信する、郵送するなど、いろいろな手法が考えられる。どのような方法が適切であるかについては、大規模HEMS情報基盤整備事業における、実際の消費者の反応を踏まえながら、そのあり方を検討していく。
 
 
〔2〕パターン②:データ領域Ⅱを使用する場合
図6は、データ領域Ⅱを使用する場合で、これとユースケース①とユースケース②を組み合わせたものである。
 
(1)個人情報保護法上の対応
  • 取り扱うデータに個人情報が含まれるため、アグリゲータには個人情報保護法に基づいた対応が求められる。具体的には、サービスを提供する際に利用目的を明示することや第三者にデータを提供する際には、本人の同意を得ることが必要となる。
  • 個人情報保護法上、利用目的をできる限り具体的に特定することが望ましい。この点、利用目的として「HEMSデータ利活用サービス」と明示し、あらかじめ公表していれば、その範囲内で行われる創造的なサービスの提供については、利用目的の変更には該当しないため、個人情報保護法における本人の同意は必要ないと考えられる。
  • アグリゲータからサービス事業者へのデータの提供は、個人情報保護法上の第三者提供に該当する場合と、委託関係によって第三者提供に該当しない場合がある。
第三者提供に該当する場合注8について、「HEMSデータ利活用サービスを提供する際に第三者となるサービス事業者にデータを提供すること」についても本人の同意を取得していれば、サービスの創造に伴って、第三者となる新たなサービス事業者にデータを提供することとなった場合にも、利用目的の変更には該当しないため、個人情報保護法における本人の同意は必要ないと考えられる。
 
(2) 個人情報保護法を越えた対応
消費者の安心感、納得感を得て、信頼関係の下でサービスを提供していくため、具体的なサービス内容や、そのためにどのサービス事業者にデータを提供するのかを本人に通知、または公表していくべきと考えられる。
※通知または公表を踏まえた消費者本人からの求めに応じ、当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止する仕組みを整備しておく必要がある。
※通知・公表の方法はパターン①と同じである。
 
 
以上のほか、図7に示すパターン③、図8に示すパターン④などが検討されているが、ここでは図のみを紹介し、説明は省略する。
 
 
 
詳しくは、スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会の「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/smart_
house/pdf/005_s08_00.pdf)を参照されたい。
 
 
以上、経済産業省が策定した「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」の概要を見てきた。
 
今後は、現場における実証を反映させながら、政府の「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」との同期や、欧米の動きとの国際的な連携を図りながら、より完成度の高いマニュアルとなり、新しいビジネスを創出していくことに期待したい。

◆図5 出所
〔経済産業省「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」、2014年5月28日〕
 
◆図6 出所
〔経済産業省「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」、2014年5月28日〕
 
▼注8
第三者提供と委託のいずれを選択するかはケースバイケースであり、予見することは難しい。このため、第三者提供に該当する前提での対応を図っておくほうが、後々の選択肢は広くなる。
 
◆図7 出所
〔経済産業省「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」、2014年5月28日〕
 
◆図8 出所
〔経済産業省「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」、2014年5月28日〕
 

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