[スーパーコンピュータ「京」施設におけるエネルギー管理の実際]

スーパーコンピュータ「京」(けい)施設におけるエネルギー管理の実際≪前編≫

― 空冷・水冷を併用したコンピュータ冷却システムの設計―
2014/09/01
(月)
SmartGridニューズレター編集部

4. 空冷・水冷を併用した計算機の冷却システム

〔1〕なぜ水に着目したのか?
 同施設で採用した水冷方式、水を使うという発想はどこからきたのだろうか。
 「1㎡に8kW出る熱をある平面に置く。そのときに、単純に言うと、風はこの筺体に対して6面からしか当てられない。その面積を勘定すると、8kWもあると空気だけでは冷却しきれないのです。物理的にまず無理だという結論に至ったのです」(長谷川氏)。
 このようなことから、空冷と水冷を併用した冷却システムの構築が進んだ。
 
〔2〕空調機を計算機室直下に置いて冷却
 空気を送ることに関しては、空調機を計算機の直下に置き、そこから風を吹き出す(前出の図2、写真2)。空調機は全圧効率注469.5%の高効率型とし、搬送エネルギーの削減を図っている。
 
 また、計算機室下に1.5mの人間の身長ほどの高さのフリーアクセスフロアをつくり(図2右上の断面図)、その中にケーブルラックやCPU冷却水配管などを敷設した。そこからホースでコンピュータに沿わせて、筐体内の水冷配管につなげている(CPU冷却システム、写真3)。
 
 2Fの空調機室からの風は、このフリーアクセスフロアを介してグリルのシャッター角度などで均等に送られるように調整されている。
 3Fの計算機室内には、通路(アイル)に空調からの吹き出しが出るようにして、冷たい風が出る「コールドアイル」と温かい風が出て行く「ホットアイル」をつくった。計算機室の天井の高さも5、6m程とり、排熱(暖かい空気)が上に行くようにして、それらの排熱が空調機械室に戻る構造になっている。このように、空気を循環させて空調機に戻し、冷水を入れて冷やしている。

◆写真3 出所
 〔独立行政法人理化学研究所 計算科学研究機構の資料を元に編集部作成〕
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