[標準化動向]

oneM2Mの最新標準「初版リリース:V-2014-08」を公開!

─ARIB/TTC共催セミナーで技術仕様の全貌を発表─
2014/10/01
(水)
SmartGridニューズレター編集部

去る2014 年9 月1日(月)、ARIB(電波産業会)の会議室において、ARIBとTTC(情報通信技術委員会)の共催によって、M2Mに関する国際標準化組織「oneM2M」で2 年余にわたって策定された成果について、「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」と題したセミナーが行われた。同セミナーでは、2014 年8 月に初版のリリースが行われたばかりのoneM2M技術仕様について詳細に説明がされるとあって、会場は満席の盛況であった。ここでは、今回公開されたoneM2Mの初版リリース(イニシャルリリース)「V-2014-08」(2014 年8 月バージョンと読む)の全体像と標準化の流れや、今後のM2Mの展望についてレポートする。

写真1 満席となったARIB/TTC共催セミナーの会場。写真左はoneM2M技術総会(TP)副議長の山崎徳和氏(KDDI)

写真1 満席となったARIB/TTC共催セミナーの会場。写真左はoneM2M技術総会(TP)副議長の山崎徳和氏(KDDI)

公開されたばかりの初版リリース「V-2014-08」

M2Mの国際標準化組織「oneM2M」は 2年余前の2012年7月に発足し、会員数221団体(2014年9月17日現在)のメンバーで構成され、現在、図1に示すように、最上位の運営委員会(Steering Committee)に次ぐ技術総会(Technical Plenary)の下に、次のような5 つのワーキンググループ(WG:Working Group)が設置され、活動を展開している。

  1. WG1:REQ(Requirements、要求要件)
  2. WG2:ARCH(Architecture、アーキテクチャ)
  3. WG3:PRO(Protocol、プロトコル)
  4. WG4:SEC(Security、セキュリティ)
  5. WG5:MAS〔Management, Ab-straction and Semantics、管理、抽象化注1とセマンティックス注2

oneM2Mの意義と公開された初版技術仕様書

今回のセミナーは、表1に示すようなプログラムに基づいて行われたが、ここではまず、oneM2M標準化の全体的な流れを紹介する。トップバッターとして登場したKDDI(株)の山崎徳和氏〔oneM2M技術総会(TP)副議長〕は、「oneM2Mの意義と初版技術仕様書の公開について」と題して講演。山崎氏は、oneM2Mが2年余の審議のうえ、2014年8月に公開されたばかりのM2M標準技術仕様書の初版リリース「V-2014-08」を公開するまでの経緯と、「V-2014-08」のプロフィールや、M2Mに関するアーキテクチャ、プロトコルなどを解説した。

表1 ARIB/TTC共催セミナー「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」プログラム(敬称略)

表1 ARIB/TTC共催セミナー「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」プログラム(敬称略)

〔出所 「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」講演資料を元に編集部作成〕

oneM2MはM2Mプラットフォームの標準化を目指す

 oneM2Mが標準化のターゲットとしているのは、図1に示すM2Mのレイヤ構成のなかに赤字で示す「M2Mプラットフォーム」(最重要)、「M2Mゲートウェイ」、「M2Mデバイスの一部」である。

図1 M2Mのレイヤ構造と標準化の対象(oneM2Mは3つの赤字の部分が対象)

図1 M2Mのレイヤ構造と標準化の対象(oneM2Mは3つの赤字の部分が対象)

〔出所 「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」講演資料より〕

oneM2Mが、図1のM2Mプラットフォームを重視して標準化を策定している理由は、次のとおりである。

図1からわかるように、M2Mプラットフォームの上部にはM2Mアプリケーションがあり、下部にはユーザーとなるM2Mデバイスがある。これまでは、各企業は、自分でM2Mのビジネスをしようとする場合には、例えばM2Mアプリケーションをはじめ、M2MプラットフォームからM2Mデバイス(M2M機器)などに至るまで、すべて自社独自のものを開発し、用意する必要があった。

しかし、そのうちの中核となるM2Mプラットフォームの部分だけでも標準化され、例えば通信事業者から共通の要素として提供されるようになれば、あとは自社でM2MアプリケーションやM2Mデバイスを用意すればよいことになり、M2Mビジネスに対する参入の障壁がぐっと下がるようになる。

このように共通M2Mプラットフォームを標準化することによって、①ビジネスコストの低減につながること、②標準化されているため、どこの国に行ってもきちんと使えるようになることという、グローバルなインターオペラビリティ(相互接続性)を確立できる。


▼ 注1
抽象化(Abstraction):M2M デバイスの種類や機能の違いを吸収するために、一般化(モデル化)すること。

▼ 注2
セマンティックス(Seman-tics):個々のデータの内容が何を意味するかを表す情報(メタデータ)を付加し、効率よく情報の収集や解釈を可能にすること。メタデータとは、例えば新聞のテレビ番組表のように、番組の内容を要約した短いデータのことである。このメタデータによって、テレビの視聴者は効率よく番組を選択できるようになる。

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