写真1 満席となったARIB/TTC共催セミナーの会場。写真左はoneM2M技術総会(TP)副議長の山崎徳和氏(KDDI)
公開されたばかりの初版リリース「V-2014-08」
M2Mの国際標準化組織「oneM2M」は 2年余前の2012年7月に発足し、会員数221団体(2014年9月17日現在)のメンバーで構成され、現在、図1に示すように、最上位の運営委員会(Steering Committee)に次ぐ技術総会(Technical Plenary)の下に、次のような5 つのワーキンググループ(WG:Working Group)が設置され、活動を展開している。
- WG1:REQ(Requirements、要求要件)
- WG2:ARCH(Architecture、アーキテクチャ)
- WG3:PRO(Protocol、プロトコル)
- WG4:SEC(Security、セキュリティ)
- WG5:MAS〔Management, Ab-straction and Semantics、管理、抽象化注1とセマンティックス注2
oneM2Mの意義と公開された初版技術仕様書
今回のセミナーは、表1に示すようなプログラムに基づいて行われたが、ここではまず、oneM2M標準化の全体的な流れを紹介する。トップバッターとして登場したKDDI(株)の山崎徳和氏〔oneM2M技術総会(TP)副議長〕は、「oneM2Mの意義と初版技術仕様書の公開について」と題して講演。山崎氏は、oneM2Mが2年余の審議のうえ、2014年8月に公開されたばかりのM2M標準技術仕様書の初版リリース「V-2014-08」を公開するまでの経緯と、「V-2014-08」のプロフィールや、M2Mに関するアーキテクチャ、プロトコルなどを解説した。
表1 ARIB/TTC共催セミナー「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」プログラム(敬称略)
〔出所 「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」講演資料を元に編集部作成〕
oneM2MはM2Mプラットフォームの標準化を目指す
oneM2Mが標準化のターゲットとしているのは、図1に示すM2Mのレイヤ構成のなかに赤字で示す「M2Mプラットフォーム」(最重要)、「M2Mゲートウェイ」、「M2Mデバイスの一部」である。
図1 M2Mのレイヤ構造と標準化の対象(oneM2Mは3つの赤字の部分が対象)
〔出所 「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」講演資料より〕
oneM2Mが、図1のM2Mプラットフォームを重視して標準化を策定している理由は、次のとおりである。
図1からわかるように、M2Mプラットフォームの上部にはM2Mアプリケーションがあり、下部にはユーザーとなるM2Mデバイスがある。これまでは、各企業は、自分でM2Mのビジネスをしようとする場合には、例えばM2Mアプリケーションをはじめ、M2MプラットフォームからM2Mデバイス(M2M機器)などに至るまで、すべて自社独自のものを開発し、用意する必要があった。
しかし、そのうちの中核となるM2Mプラットフォームの部分だけでも標準化され、例えば通信事業者から共通の要素として提供されるようになれば、あとは自社でM2MアプリケーションやM2Mデバイスを用意すればよいことになり、M2Mビジネスに対する参入の障壁がぐっと下がるようになる。
このように共通M2Mプラットフォームを標準化することによって、①ビジネスコストの低減につながること、②標準化されているため、どこの国に行ってもきちんと使えるようになることという、グローバルなインターオペラビリティ(相互接続性)を確立できる。
▼ 注1
抽象化(Abstraction):M2M デバイスの種類や機能の違いを吸収するために、一般化(モデル化)すること。
▼ 注2
セマンティックス(Seman-tics):個々のデータの内容が何を意味するかを表す情報(メタデータ)を付加し、効率よく情報の収集や解釈を可能にすること。メタデータとは、例えば新聞のテレビ番組表のように、番組の内容を要約した短いデータのことである。このメタデータによって、テレビの視聴者は効率よく番組を選択できるようになる。