グローバル企業への転換を進めるNTTグループの新たなビジネスモデル
〔1〕ICTを活用したB2B2Xビジネスモデルを出展
NTTグループは、グループとして12年ぶりの出展とあって、力の入った展示が行われた。特にグローバル企業への転換を推進しているNTTは、図1に示すように、
- 人と人をつなぐ「電気通信」技術(B2Cモデル)から、
- インターネットなどによる人と情報をつなぐ「情報通信」技術(現在)を経て、
- コラボによってさまざまな分野・業界の価値を高める「〇〇×ICT」(B2B2Xモデル)
の先端的な事例を展示し、紹介した。
図1 NTT:コラボレーションによる新たな競争力
出所 NTT、唐沢 圭、「CeBIT 2017に見る欧州を中心としたICTテクノロジーへの期待」、2017年5月16日
〔2〕B2B2Xで新しい価値の創出を
図2に示すB2B2X(Business to Business to X)において、NTTグループ(最初のB)はあくまでも黒衣(くろご)としての位置づけであり、サービス提供者(中央のB)のビジネスモデルの変革と、そこから創り出される付加価値によるサービス利用者(最後のX)のライフスタイルの変革をサポートしていくことを、ビジネスモデルとしている注4。
図2 B2B2Xモデルへの取り組みの狙い
出所 NTT、唐沢 圭、「CeBIT 2017に見る欧州を中心としたICTテクノロジーへの期待」、2017年5月16日
このB2B2Xビジネスモデルによって、NTTは、今後、前出の図1の右上に示すような、コンテンツ、エネルギー、交通、医療・健康などの分野などにおいて新しい価値を創出し、グローバルにビジネスを飛躍させていくことを目指している。
安川電機がインダストリ4.0工場をデモ
一方、産業界の成長の限界を打破するため、インダストリアルIoT(IIoT)の分野では、第4次産業革命に向けた製造業の動きも活発であり、日本が誇る製造業の動きも注目された。
例えば、すでに安川電機は、IoTやAIを活用した「安川版インダストリ4.0」のコンセプトの実証に向けて、2016年12月21日、埼玉県入間市に次世代生産工場「ソリューションファクトリ(デジタルファクトリ)」の建設を発表している注5。同工場は、2018年4月の稼働を目指している。
次世代工場では、多品種少量生産、あるいは個別の注文仕様生産(BTO:Build to Order)が可能となっている。このような個々の仕様に応じて製品をそれぞれ自動的に製造することは、Industrie 4.0の中心的な要件の1つでもある。
CeBIT 2017では、安川電機は顧客がミニカーを購入する場合のデモを行った。
顧客はタブレット端末で自分の好みのミニカーの色(オレンジ、チェリー、メロン、グレープ)などを選んで(青写真をつくり)注文ボタンを押すと、小型の産業用ロボットがボディやシャシー(車台)、タイヤなどの部品をピックアップしてミニカーを完成させるというものであった。
写真2の中央に示すのが完成品である(実際の会場デモでは6台のロボットが稼働していた)。
写真2 安川電機がCeBIT 2017でデモした次世代工場「ミニカー」の組み立て工場
出所 Yaskawa represents partner country Japan、Solutions for the digital factory
CeBIT 2017の会場では、このような日本の製造業のデモに大きな注目を集めた。