急ピッチで進む国際連携
〔1〕インダストリー4.0とIICとIVI
現在、まさに第4次産業革命が進行中であるが、それを実現するには、多くの新しい国際標準などが求められるところから、国際連携も活発化している。
日本において、経済産業省と総務省が連携して推進する産学官のIoT推進コンソーシアム(ITAC:IoT Acceleration Consortium、2015年10月設立)では、IoTのテストベッド実証や、その先にある国際標準化などを検討するため、海外との積極的な連携を促進している。
例えばIoTの分野では、すでに産業分野(製造業)で、
(1)2016年3月2日:Plattform Industrie 4.0(略称:インダストリー4.0)とIICが協力することに合意
(2)2017年4月26日:IVIとIICがIIoT推進で連携することを合意
などの協力体制が確立してきている。
〔2〕ITACと米国・インド・欧州の各組織との連携
一方、IoT推進コンソーシアム(ITAC)
では、図3に示すような連携が実現され推進されている。
図3 ITACとIoT分野における海外の連携組織
出所 総務省、上野 文誠、「日独及び日EU間のICT分野での協力について」、2017年5月16日
(1)米国のIoT関連団体であるIIC(Industrial Internet Consortium)およびOpen Fog ConsortiumとMoU(基本合意文書)を締結(2016年10月3日)
(2)インドの全国ソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM、ナスコム注6)とMoUを締結(2017年2月23日)
(3)欧州のIoTイノベーション・アライアンス(AIOTT注7)とMoUを締結(2017年3月20日)
〔3〕CeBIT 2017における「ハノーバー宣言」
さらに、CeBIT 2017では、日本とドイツの政府間レベルで、2016年4月の共同声明に対して新たに盛り込まれた、IoT/インダストリー4.0に関するサイバーセキュリティ、国際標準化、研究開発分野などでの日独協力の枠組みを定めた「ハノーバー宣言」注8という共同声明が出されるなどの成果もあった。
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ICTを駆使してつながることを前提に、「IoT」「AI」から「モビリティ」に至るまで7つの分野を中心に、多面的な展示が行われたCeBIT 2017は、第4次産業革命と連動して、世界各国の国際的な協調と競合が急速に進み、新しいビジネスが爆発的に誕生しようとしている。その流れはますます勢いを増すと予測される。
どのような連携で、どのような標準化が行われ、どのようなビジネスを創出できるか。各国の戦略と各企業の戦略が問われている。
▼ 注6
NASSCOM:National Association of Software and Services Companies、1988年設立
▼ 注7
AIOTI:Alliance for IoT Innovation、2015年3月設立
▼ 注8
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170320002/20170320002-1.pdf