DR由来の調整力の公募調達の結果
〔1〕一般送配電事業者による調整力の公募
すでに、2016年10月〜12月に、一般送配電事業者10社は、経済産業省の「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方」(ガイドライン注7)に従って、2017年度分の調整力の公募が実施され、その結果が「一般送配電事業者による調整力の公募調達について」(2017年2月3日)として発表された注8。
詳しい解説は別の機会に譲るとして、ここでは、表3に示す調整力の種類〔電源Ⅰ(電源Ⅰ-a、電源Ⅰ-b)、電源Ⅰ’(電源イチダッシュ)、電源Ⅱ、電源Ⅲ〕のうち、2017年4月からスタートしたネガワット取引市場において、DRの活用が期待されている領域「電源Ⅰ’(電源イチダッシュ)」の公募結果を見てみよう。
なお、「電源Ⅰ’」とは、猛暑あるいは厳寒時のH1(後述)に対応するため、原則として、一般送配電事業者が電源Ⅰ(電源イチ。専用電源として、常時確保する電源など)に、追加的に確保する供給力などのことである。
また、H1とは、夏季あるいは冬季における厳しい気象条件(10年に1回程度の猛暑)における、最大電力需要向けの調整力のことである。
表4は、調整力の公募結果のうち電源Ⅰ’の結果(DRの落札結果も含む)を示したものである。
〔2〕4社合計95.8万kWが落札
電源Ⅰʼについては、旧一般電気事業者(10社)以外の事業者からも募集量の3割程度の応札があった。また、DRを活用した応札は、電源Ⅰ’を募集した一般送配電事業者5社(東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、九州電力)の募集量の合計132.7万kWに対して合計111.2万kWがあり、そのうち4社(東京電力、中部電力、関西電力、九州電力)において合計95.8万kW(総額約3,593百万円)が落札となった(提供期間:表4参照。中部電力を除いて2017年4月1日〜2018年3月31日)。
これは、日本で初めてDRが、開かれた競争入札の市場において取り引きされる例となった。
表5に、4社の一般送配電事業者の調整力としての調達内容を整理して示す。
表5 4社の一般送配電事業者の調整力としての調達内容
※参考:電力・ガス取引監視等委員会資料5-1「一般送配電事業者による調整力の公募調達について」、2017年2月3日
出所 資源エネルギー庁「ネガワット取引市場創設とバーチャルパワープラント構築に向けて」2017年3月16日をもとに編集部作成
今後の展開:多くの事業者が調整力の公募調達に参加を!
経済産業省の審議会の1つである電力・ガス取引監視等委員会注9では、一般送配電事業者における調整力の運用が、実際に、電力の安定供給とコスト最小化の両立を目指したものとなっているかどうかを、継続的に監視していく方針としている。
また、調整力について、競争を通じた効率化や透明性の向上を実現していくためには、多くの事業者が調整力の公募調達に参加することが重要である。こうした観点から、
(1)電源等におけるオンライン設備等の具備の状況(電話やFAXではなくIT設備の具備)
(2)旧一般電気事業者以外の事業者の調整力公募調達への対応方針・応札事業者の今回の調達、プロセスへの評価
などを中心に実態を把握し、より競争を促進するための工夫などが検討されていく予定となっている。
▼ 注7
http://www.meti.go.jp/press/2016/10/20161017002/20161017002-1.pdf
▼ 注8
http://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc/pdf/069_05_01.pdf
▼ 注9
電力・ガス取引監視等委員会:電力・ガスの自由化に当たり、市場の監視機能等を強化し、市場における健全な競争を促すために設立された、経済産業大臣直属の組織。2015年9月1日に経済産業大臣直属の組織として設立された電力取引監視等委員会を、2017年4月のガス自由化の実施に向けて、2016年4月1日に「電力・ガス取引監視等委員会」へ改組された。