IIoT時代はプラットフォームが乱立か?
IIoT時代を迎え、センサーなどのIoTデバイスが安価になったため、現場にはデータのデジタル化の大波が押し寄せ始めており、すでにデータの分析や見える化が進展してきている。これに対応して、IVIでは、「つながる工場」ためのしくみとして「IVIプラットフォーム」を2017年4月に発表している。このプラットフォームは、インフラやアプリケーション、デバイス、ツールなど複数のコンポーネントによって構成されており、システムとシステムを有機的につないで相互にデータを流通させ、新しい価値を提供する仕組みだ。
IVIの場合は、欧米のようなトップダウン式のプラットフォームやアーキテクチャへのアプローチではなく、現場の作業力を重視したボトムアップ式のアプローチも加えたプラットフォームとなっていることが大きな特徴である。
しかし、プラットフォームが企業の重要な基盤となるため、いろいろなプラットフォームが提供されてしまい(図3)、「つなげるしくみ」であるはずのプラットフォームがつながらなくなってしまう。その結果、プラットフォームが、ある特定のベンダの囲い込みのツールになってしまう危険性がある。そこでIVIのミッションは、中立的な立ち位置から、このようなクローズドなプラットフォームではなく、オープンなプラットフォームの共通化仕様を掲げて各社のプラットフォームを評価することである。
図3 IIoT時代はプラットフォームが乱立!?
出所 西岡靖之「デジタル化による大競争時代で日本の企業は生き残れるか?」、IVI公開シンポジウム2017ーAutumn−、2017年10月12日
ゆるやかな結合によるプラットフォームの連携
各WGからはデータプロファイル(データ形式)に関する発表もあったが、図4は、そのデータプロファイルがIVIで標準的に定義されているものであり、これによって、ゆるやかに結合(相互接続)できるようにするプラットフォーム連携の例である。
図4のように、X社とY社の異なる2社間で異なるプラットフォームでデータをやり取りする場合、次のような手順となる。
図4 ゆるやかな結合によるプラットフォーム連携
出所 西岡靖之「デジタル化による大競争時代で日本の企業は生き残れるか?」、IVI公開シンポジウム2017ーAutumn−、2017年10月12日
①X社のクローズドデータXのプロファイルを、HCGW(ハイパーコネクションゲートウェイ)を経由して、中央のHCS(ハイパーコネクションサーバ)に送る。Y社は、プロファイルの内容によって、X社のデータのフォーマットやサービス内容を知る。
②Y社のHCGWは、X社のプロファイルの内容に従って、HCSにサービスリクエストを送る。
③Y社からのサービスリクエストを受けたX社のHCGWは、リクエスト内容を確 認し、Y社に対して、X社が指定したデータコンテンツを送るよう指示する。