[特別レポート]

【IVI公開シンポジウム 2017 —Autumn—】デジタル化による大競争時代、日本の製造業は生き残れるか?

― IIoT/AI化を推進する製造業200社が新チャレンジを発表―
2017/12/08
(金)
三橋 昭和 インプレスSmartGridニューズレター編集部

IVIの参照アーキテクチャ「IVRA」を国際標準として提案

図4のような通信を行う場合には、現場にどのようなデータが存在し、そのデータがどのような属性をもっているかなど、それぞれ異なっているため、膨大な種類のデータや属性などに対応できることが求められるようになる。

これを解決するには、事前にできるだけ現実のデータ形式に近いデータプロファイルを定義して、できるだけ自社のデータ形式(A)と他社のデータ形式(B)を共通にしておく(近い形式ものにしておく)ことが求められる。このようなデータプロファイルの定義によって、通信する双方のデータ形式(AとB)がその差分だけを変換するだけで、異なるプラットフォーム間でも通信が容易にできるようになる。このような役割を果たすのが、リファレンスアーキテクチャ(参照アーキテクチャ)である。これは、参照モデルといわれる場合もある。

そこでIVIにおいて、IEC標準などを考慮し、かつ日本の現場の状況も考慮して策定されたのが、図5(1)に示す「IVRA」(Industrial Value Chain Reference Architecture、インダストリアルバリューチェーン参照アーキテクチャ)である注5。このIVRAは国際標準をめざして、2016年12月に、IECとISOが共同で進めているJWG21(Joint Working Group 21、‘Smart Manufacturing Reference Models’)に提出され、審議されている。

図5 IVIが国際標準提案したIVRAと国際標準RAMI4.0の対応

図5 IVIが国際標準提案したIVRAと国際標準RAMI4.0の対応

出所 (1)https://iv-i.org/docs/doc_161228_Industrial_Value_Chain_Reference_Architecture_JP.pdf
   (2)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/c982b4b54247ac1b/20150076.pdfをもとに編集部で日本語化

IVRAは「現場力」を取り込んだ実践的な参照アーキテクチャ

このIVRAは、前述したように、ドイツのRAMI4.0や米国のIIRAなどのアーキテクチャのように、トップダウン方式によって策定されたものではなく、スマート工場の実現をめざして、日本の伝統的なものづくりの強さである「現場力」をも取り込んで策定されていることが、大きな特徴となっている(表2)。

表2 連携に向けて検討が開始された3つのアーキテクチャ(RAMI4.0、IIRA、IVRA)

表2 連携に向けて検討が開始された3つのアーキテクチャ(RAMI4.0、IIRA、IVRA)

※1 Implementation Strategy Industrie 4.0(Report on the results of the Industrie 4.0 Platform)、オリジナル版:2015年4月、英語への翻訳版:2016年1月
※2-1 The Industrial Internet of Things Volume G1: Reference Architecture
※2-2 PD IEC/PAS 63088: 2017、Smart manufacturing. Reference architecture model industry 4.0 (RAMI4.0)
※3 ものづくりバリューチェーンの参照アーキテクチャ「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」2016年12月 【注】2015年7月、ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWi)と中華人民共和国工業情報化部は、Industrie 4.0分野において、2国間で協力するというMOU(覚書)を締結した。このMOUはBMWiのIndustrie 4.0と中国の“Made in China 2025”(中国製造2025、2015年5月から推進)とのパートナーシップを強化するもの。
出所 各種資料から編集部作成

スマート工場とは、自律的なものづくりの組織単位が、相互に通信し連携しあうことによって、ニーズの個別性や多様性に対応しながら、同時に生産性や効率性を高めるしくみである。このようなものづくりを行う自律的な単位を、IVRAでは、SMU(Smart Manufacturing Unit、スマートものづくり単位)と定義している〔図5(1)〕。

このSMUは、「活動の視点」「資産の視点」「管理の視点」という3つの視点をもっており、自ら問題を発見して改善するために、人の要素をその内部にもっている点が大きな特徴となっている。

具体的な3つの視点の内容は、以下の通りである。

  1. 活動の視点(PDCA):計画(Plan)、実施(Do)、解析(Check)、改善(Action)
  2. 資産の視点(4M):人(huMan)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)
  3. 管理の視点(QCDE):品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)、環境(Environment)

これらを、図5(1)のように、4×4×4のブロックで表現することによって、スマート工場の現場において、どの段階のどのレイヤ(層)の課題であるかを、現場作業に基づいて議論できるようにした。この3次元モデルの1つのブロック(4×4×4のブロック)が前述したSMUである。

さらにIVIでは、このSMUを組み合わせたSMUの複合ユニットをGFB(ゼネラルファンクションブロック)注6とし、企業全体レベルのスマート工場の活動を示すことも可能となっている。


▼ 注5
https://iv-i.org/docs/doc_161228_Industrial_Value_Chain_Reference_Architecture_JP.pdf

▼ 注6
IVIの「ものづくりバリューチェーンの参照アーキテクチャー」の図2参照

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