[新動向]

「電気×AI」の家電分離技術で新IoTプラットフォーム事業を開始

― エナジーゲートウェイが新型電力センサーでサービスを提供 ―
2018/07/01
(日)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

住宅事業者における適用事例:見える化サービス

次に、実際の適用事例を見てみよう。

図7は、住宅事業者において、見える化サービスを提供する事例である。

図7 事業戦略例④:住宅事業者への提供事例(見える化サービス)

図7 事業戦略例④:住宅事業者への提供事例(見える化サービス)

出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

家庭で電力センサーによって測定された電気の使用状況を、専用のアプリケーション「うちワケ」を使用して見える化している。また、「電力センサー」と「うちワケ」アプリを家庭に導入することで、従来のHEMS(家庭用エネルギー管理システム)よりも簡易的に、かつ低コストで利用できる。

この「うちワケ」アプリは、家電分離推定技術「METIS Engine」(メティスエンジン)というAIアルゴリズム(分析技術)を使用して、自宅の電気の使用状況を学習し、各家電機器の電気の使用状況を推定することが可能となっている。推定可能な家電機器の種類は、図7の中央に示す11種類で、図の右に示すように、毎日の電気の使用状況や発電量、売電・買電状況(1時間単位も可能)を把握でき、省エネ活動の促進にも役立てることができる。

3つのフェーズに分けた今後の展開(ロードマップ)

ここまで、エナジーゲートウェイの「電力センサー」やセンサーから収集した情報を処理する「IoTプラットフォーム」、それらを利用した新しいサービスイメージや事例を見てきた。

図8は、10年後の2027年度を見据えたエナジーゲートウェイの将来展望(ロードマップ)である。同社は、大きく、

図8 エナジーゲートウェイの将来展望(ロードマップ)

図8 エナジーゲートウェイの将来展望(ロードマップ)

出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日

  1. 個別サービスとしての普及のフェーズ
  2. プラットフォーム化のフェーズ
  3. 社会基盤化のフェーズ

の3つにフェーズに分けた事業展開を目指している。

当面目指すビジネス規模の目標は、図8に示すように、セキュリティや見守り、エネマネなどの各種サービス間で相互融通を可能とする「IoTプラットフォーム」を、100万世帯の規模で普及させることである。

今後、再生可能エネルギーやEVなど分散電源の急速な普及により、VPP時代の到来が予測されるが、エナジーゲートウェイでは、電力センサーを核に、IoTを活用した「電気×AI」という新しい視点から、電力分野の次世代ビジネスを活性化させていく。これらは、その先にあるUtility 3.0注4によるオープンなプラットフォームや社会基盤の構築へとつながっていくと期待されている。


▼ 注4
電気事業の事業環境の変化は3つのフェーズで展開されている。(1)Utility 1.0:電気事業の誕生と急激な発展のフェーズ、(2)Utility 2.0:自由化による発電・小売の競争のフェーズ、さらに、分散化・脱炭素化・人口減少(需要減少)・デジタライゼーションなどの進化によって、(3)Utility 3.0:共創による新しいビジネスモデル(他事業との融合等)へと発展するフェーズ。

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