エナジーゲートウェイの事業モデル:BtoBtoC
図3は、エナジーゲートウェイの事業モデルである。
図3 エナジーゲートウェイのビジネスモデル:BtoBtoC
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日
図からわかるように、同社自身が直接顧客(ユーザー)に対して、C向けサービスをするというモデルではない。すでにC向けサービスを提供している、あるいはこれからビジネスを開始したいと考えているサービス事業者(図3右側)を介して(連携して)、BtoBtoC注2のビジネスモデルで事業展開していく。
このように、エナジーゲートウェイは、家庭に電力センサーを設置するが、そこから得られたデータをもとにデータの収集・分析・加工を行い、価値のある情報に変えてサービス事業者に渡す。サービス事業者は、その情報と自社のもつ情報を掛け合わせて、C向けに新しいサービスを提供していく。
〔1〕住宅事業者に向けたサービス
次に、具体的なサービスのイメージ例を紹介しよう。
図4は、住宅事業者に向けたサービスのイメージを示している。図では、家庭における電気の使用状況を分析することによって、省エネや電気利用の効率化を促すエネルギーマネジメントサービスが可能となる。また、スマートスピーカー(AIスピーカー)や家電操作リモコンとスマートフォンを連携させることによって、家電の遠隔操作や制御を行えるなど、スマートライフの実現を想定している。
図4 事業戦略例①:住宅事業者向けサービスのイメージ
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日
〔2〕セキュリティ事業者向けサービス
図5は、セキュリティ事業者向けサービスのイメージである。家庭における、朝食時から外出、帰宅、家事、夕食、団らん、就寝に至るまでの24時間について、電気の使用状況の推移を示している。ここでは、ある1日のエアコンや洗濯機、電子レンジなどの使用状況が色分けされてグラフ化されている。
図5 事業戦略例②:セキュリティ事業者向けサービスのイメージ
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日
これによって、在宅あるいは不在を解析し、不在時の電気の異常な使用状況を検知してアラートを出すという警備的な活用もできる。また、高齢者がいつも同じ時間に起きて同じ家電を使うといった行動のリズムが突然乱れるなどの変化を捉えてアラートを出す、といった見守りなどにも活用できる。
〔3〕リソースアグリゲータ向けのサービス
図6は、リソースアグリゲータ注3向けのサービスイメージである。
図6 事業戦略例③:リソースアグリゲータ向けサービスのイメージ(エネマネ)
出所 「エナジーゲートウェイが取り組むIoTプラットフォーム事業」、2018年6月13日
現在、家庭に太陽光発電パネルが設置されたり、蓄電池やEVが家庭に導入されたりして電源が分散化されている。そこで、家の中のリソース(電力)の状態を電力センサーで把握してIoTプラットフォームで処理をし、余った家庭のリソースを集めて(バーチャルな発電量として集めて)、リソースアグリゲータに提供する(売買する)。これによって、電力利用の最適化を図ることが可能となる。
▼ 注2
BtoBtoC:Business to Business tov Consumer、B2B2Cと表現する場合もある。企業(例:サービス事業者)と消費者(お客様)の間に存在し、企業と消費者のビジネス(取引)がうまくいくように支援して利益を得るビジネスモデル。
▼ 注3
リソースアグリゲータ:家庭などの需要家側に散在する太陽光発電やEVの蓄電池や、使いきれなかった電力(分散電源。エネルギーリソース)を統合制御(アグリゲート)し、それを電気事業者などに提供する仲介事業者のこと。