SORACOMはクラウドネイティブ
〔1〕SORACOM:IoTプラットフォーム
SORACOMとは、
(1)3Gや4G(LTE)などのモバイル通信システム(セルラー)やLPWA(LoRaWAN、Sigfox)などの無線通信(アクセス回線)と各種クラウドを融合させて、
(2)顧客の各種デバイスや企業システム(サーバ等)などをつなげるIoTプラットフォームである(図1)。
図1 あらゆるアクセス回線を通じて各種クラウドとセキュアに接続可能な「SORACOM」
出所 玉川憲、「基調講演:IoTを超えて」、株式会社ソラコム、2019年7月1日
同プラットフォームは、スケーラブルで可用性の高いクラウド上に構築される、クラウドネイティブな設計となっている。また、データ通信において、複数のアクセス回線から送信される多様なデータを収集/分析し、ルーティングするコアネットワーク注1の機能を備え、クラウド上にソフトウェアで構築されている(図1)。
これによって、SORACOMは、通信の民主化を容易に実現できる、つまり「誰もが容易に使えるようになる」IoTプラットフォームを目指している。
ソラコムは、通信の民主化を実現するため、これまでに各種インタフェースをはじめ、アプリケーションやネットワーク、デバイス、コネクティビティ(IoTデータ通信「SORACOM Air」)などの全レイヤについて開発を続けている(図2)。
図2 IoTテクノロジー民主化のためのプラットフォーム
出所 玉川憲、「基調講演:IoTを超えて」、株式会社ソラコム、2019年7月1日
今回の新発表では(図中の「新発表!!」マーク)、ダッシュボード共有/作成、エッジプロセッシング、クラウドファンクション、セキュアプロビジョニング、オンデマンドリモートアクセス、エッジ処理カメラ(S+Camera:サープラスカメラ)などの機能やデバイスが新しく開発され、提供されることになった。
〔2〕SORACOMの発展史
ここで、SORACOM発展の経緯を簡単に見てみよう
SORACOMは、2015年9月からサービスの提供が開始され、図3に示すように発展してきた。
図3 「SORACOM」サービスの発展
出所 玉川憲、「基調講演:IoTを超えて」、株式会社ソラコム、2019年7月1日
- 2016年には、クラウド連携(AWS、Azure、Googleなど)や閉域網対応(セキュリティ対応)などを提供
- 2017年は、グローバル対応へのアプローチ(IoT SIMの発売。1枚のSIMで130カ国以上つながる)や、複数の無線に対応が可能となる(SORACOMは、3G・4G、LPWAなど多様な無線接続が可能)。また、ソラコムは同年に、KDDIのグループ会社となった。
- 2018年に、可視化とIoTにおけるハードを簡単化するため、IoT向けダッシュボードサービス(名称:Lagoon)注2を提供。ユーザー自身がボタンをクリックするだけでIoTを可視化するためのダッシュボードを作成できる。具体的には、IoTネイティブなハードウェアとして、AWSと協業してKDDIのLTE-M(セルラーLPWA)を装備した電池で動作するボタンデバイスを発表した。
また、この間、デバイスの管理から認証に至るまで、IoTに関する基本的な対応がすべて実現できるようになってきた。
そして、2019年のテーマは「IoTを超えて」である。SORACOMは、新たな目標を目指して取り組んでいる。
▼ 注1
コアネットワーク:各種のアクセスネットワークから受信したデータの処理やルーティング(データの経路選択)などを行う機能をもったネットワーク。
▼ 注2
ダッシュボード:複数の情報を1つにまとめ、ひと目でデータを把握できるようにする「データの可視化ツール」のこと。例えば身近な例として、自動車のダッシュボードには、スピードメーターや燃料計、水温計、距離計などがまとめられていて、運転者が車の状態を可視化して把握できるようになっている。